晴れたらいいね 1





教室に入ると遠巻きクラスメイトたちがとある生徒を遠巻きに見ていた。

そうか、と花形は納得する。

昨年卒業できなかった生徒がひとり居たと聞いた。途中から休学に入ったとか。

噂は好き勝手飛び交っていたようだが、興味のない花形は良く覚えていない。

たしか、果ては宇宙人に連れて行かれたというのがあって、しかもそれを最有力視されていたのには驚いた。

黒板を見て自分の席を確認した。

というか、出席番号順になるのは仕方ない。最初だから。

しかし、生徒側の事情も考えてもらいたい。

花形の席は後ろから二番目。彼女の前だった。

何て名前だったっけ...

こういうのは藤真とか高野ならばきっと覚えているのだが...

花形が椅子を引いて座ると背後から「あらやだ」と呟く声が聞こえた。

花形は振り返り、「すぐに席替えを提案するつもりだから少し我慢してくれないか」と言う。

彼女は驚いたような表情を浮かべた。

「逆よ」と言う。

「逆?」

「君..えーと名前、クラス全員に自己紹介する前に特別に教えてくれるかしら?」

「花形。花形透だよ。悪い、こっちも教えてもらえるか?」

そう返すと彼女はまたしても驚いた表情を浮かべた。

「自惚れてたみたい」

「...何が?」

「あたし、有名人だと思ってたから。ほら、宇宙人に連れて行かれたし」

ちょっと印象が変わった。

もっととっつきにくいツンツンした性格かと思っていた。実際、これだけ視線を向けられているのに動じているようなそぶりが見られない。



一言、自己紹介をした。

「よろしく、

そう言うと「よろしく」と返された。

「で、さっきの話の続きだが」と花形が促す。

「何?」

「何か言いかけただろう?」

花形の言葉に彼女は少し悩み、「ああ、そうか」と頷いた。

「『あらやだ』ってのは、授業中寝放題だと思って喜んだのよ」

肩を竦めながら彼女が言う。

「...それは、残念だったな。俺のクラスは大抵すぐに席替えだ。というか、俺がその列の一番後ろに行くことになる。つまり、と入れ替わりだ」

は「ざんねん」と苦笑した


ホームルームが始まり、クラス替え定番の自己紹介が始まる。

の番になった。

「去年、宇宙人に連れ去られたのでダブったです。よろしく」

シーンと教室の中に沈黙が降りる。

その空気に満足したように彼女は微笑み、椅子に腰を下ろした。

「じ、じゃあ次」と担任が次を促した。

全員の自己紹介が終わった後、

「花形、。悪いがお前達は席を入れ替わってくれ」

と担任が言う。

花形が申し出ることもなく担任の指示があった。

「残念」と先ほど苦笑した言葉を繰り返した彼女は既に荷物はまとめていたようで担任の指示通りに花形の席へと移動し、花形も荷物をまとめていたのですぐに彼女の席に移動した。

「視界が開けちゃった」と振り返って言うに「残念だったな」と苦笑しながら花形は返した。









桜風
11.10.19


ブラウザバックでお戻りください