| 休憩時間、が振り返ってくる。 「花形くん、背高いね。どうしたの?」 『どうしたの?』という聞き方をされたのは初めてで、返し方に悩んだが 「たぶん、遺伝だよ」 と返した。 「ご両親、背が高いの?」 「父は高いな。母は平均以上ではあると思う」 「そうなんだー...背が高いのって便利そうだけど、そこんとこ、どう?」 便利か不便かと聞かれたら... 「一長一短だな」 バスケをしている身としては、背は低いよりも高い方がいいと思う。 だが、背は高すぎると色んなものが規格外になってしまう。 服もそうだし、何より梁に頭をぶつけるのなんて日常茶飯事だ。 そのことをに言うと 「それは、ご愁傷様」 と少しだけ愉快そうに返された。 「何がそんなに面白いんだ?」 不思議なことに、彼女のそんな態度は不快ではない。 「いや、絵に描いたようなのっぽさんの悩みだから」 と返された。 「車も選びそうね」 花形を見上げてがいう。 「ああ、そうだな。ウチの車は自ずと選択肢が狭まっていると父が言っていた」 「それは花形くん規格?」 「父親」 そういえば、父親も背が高いと言っていたか。 チャイムが鳴り、次の授業の担当教員が教室に入ってきたため、は黒板の方に姿勢を戻す。 昼休憩になり、昼食を食べに食堂に向かう。 「も食堂か?」 立ち上がったに聞くと「購買」と返された。 「花形くんは?ガッツリ食べそうだもんねー」 何の話だ、と思いながら「食堂」と返した。 購買は食堂の隣なので一緒に向かうことにした。 「アレだね」 話をしていると突然が言う。 「なんだ?」 「首が攣りそう」 「攣ったら保健室には運んでやるよ」 そう返した花形に「ご親切にどうも」と返す。 「よ、花形!」 背後から声がして振り返る。 「何だ、揃って」 花形が足を止めて応じる。『一緒に』食堂方面に向かっている身としては、とも振り返り、視線を上方修正した。 何、これ... 壁に囲まれている気分だ。 「ん?ああ!!」 失礼にも一人がを指差した。 「高野」と花形がたしなめる。 高野という名前の人物らしい。 「グレイに連れて行かれた感想は?」 高野が言う。 「...残念。わたしは、タコさんタイプだったの」 何の話だ?と花形は首を傾げる。 「火星人タイプか...火星はどうだった?」 今度は隣に立つ周囲に比べたら背の低い、それでも充分に背は高いが、周囲のせいでそこまで大きく見えない男子が問う。 「あそこは住めたもんじゃないわよ。あんなところに住めるんじゃないかって思ってるNASAのスタッフというか某国大統領に進言したいわ」 が返した。 「そうかー...」 腕を組んで数回頷いていた彼がふと真顔になる。 「今更だが、名前を教えてもらえないか。不便だ」 「同感ね。。花形くんと同じクラスよ」 「藤真健司。2つ隣のクラスのナイスガイだ」 藤真に続いて一緒に来たメンバーも自己紹介をする。 「そう、よろしく」と彼女が応じ、そして、藤真を見上げた。 「ところで、藤真くん」 「健ちゃんでいいぞ?」 「もう少し仲良くなったら検討するわ。ズボンのチャック、全開」 冷静に突っ込んだ彼女に「ん?」と指摘を受けた藤真はその箇所を確認し 「おおう、ありがと」 とチャックを上げた。 「これで、他校の女子に憧れられてんだから詐欺だよな」 肩を落として高野が呟く。 「他校の女子?」 「俺らバスケ部」 藤真が言うと 「ああ、だからのっぽだらけなんだ?」 と納得した。 そして、「彼がもてるのは、ジャージにチャックがないからじゃない?」が言うと「そっか」と高野はすんなり納得した。 |
桜風
11.10.26
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