ハツコイ 2




放課後の体育館は俄かに騒がしい。

9.7:0.3くらいの割合で男子と女子が集っている。

今日は一応、1年全員が揃う初めての部活動の日だから部活動を始める前に挨拶をするというコトだ。

ウチは顧問が男女を兼任している。

大抵引率が必要なのは男子だけだし、大会だって女子は初戦敗退だから両方の引率が必要な状況が殆どない。

当たり障りのない顧問の挨拶が済んで、キャプテンの挨拶となる。

どちらかからって決めてなかったからその場でお互いの顔を見合わせる。

藤真くんに譲って、彼が口を開くと女子の方から小さな悲鳴が上がる。1年だけならまだしも2年からも上がってることに思わず溜息。

いい加減、慣れなさい...

男子の方を見たら透と目が合った。何ともいえない苦笑いを浮かべている。

そして、私の隣に立っているマネージャーはあからさまにうんざりした顔をしていた。あからさま過ぎていっそ清々しい。



そして、藤真くんの挨拶が終わり、私の番。

男子が居るけど、そっちは怖いからなるべく見ないようにして挨拶。

そして、女子部の新入生も私を一切見ないで藤真くんと透に熱い視線を注いでいた。

うん、もういいよ...

「それで、男子部と女子部は練習場所が違います」

その説明を始めるとブーイング。

「男子部はこの体育館を使いますが、女子部はもうひとつの体育館をバレー部、卓球部と共用で使用します」

この言葉に更に大きなブーイング。

「ただし、月に1回程度ですがこの体育館の半面を借りて練習する日がありますので注意してください。そのときは連絡します」

この説明に歓喜の声が上がる。何故か男子からも。怖い...

「ちなみに、今日は此処で練習しませんのであしからず」

またブーイング。

面倒くさいなぁ...

「あと、女子部では部活動を休むときは必ず連絡もしくは伝言で理由を教えてください」

じゃないと、やっぱりムカついてくるでしょう。

でっち上げでも何でもいいから理由を聞いたら少しはムカつきが抑えられるから。

きっとこの体育館での練習のときは出席率は高いだろうけど...


「先輩、質問があります!」

女子部の1年が手を上げる。

「どうぞ」

「男子部はぁ、マネージャーを募集してないんですかぁ?」

必要以上に間延びをした甘えたような声で、そんなことを堂々と藤真くんの目を見て言ってる。

「ねぇ、あの子苛めていい?」

隣で目が座っているが耳打ちしてくる。

「我慢して。私もそれなりにムカついてるんだから」

そうお願いをしておいた。

「男子部がマネージャーを募集することはありません。そんなにマネージャーがしたかったら女子部では募集していると思います。キャプテンのさんに聞いてみてください」

藤真くん、怒ってる...

声が非常に冷たい。寒い...

「質問は以上ですか?」

藤真くんが話を締めようとする。

ざわざわとざわめいていたが特に何も無かったようなので、コレにてお開き。

女子の部員たちを引き連れて体育館を後にした。


体育館に着いたときには、さっきまで居た女子部員が半分以下になっていた。

わー、ふっしぎー...

「ねえ、神隠しじゃない?警察に連絡する??」

皮肉を込めてがそう言った。

だから、理由を言って消えてよね!!

それでも1年生の中の数人も残ってくれたのが嬉しかったりする。

というか、此処まで期待できないチームメイトたちとバスケってどうなんだろう...?

とは言っても、2年のうちから塾だなんだに通っている人が多く、6時くらいには殆ど部員が居なくなってる。

「帰りたかったら帰ってもいいよ」

1年に声を掛けると、おずおずと帰って行った。

も帰りな」

「ううん、待ってる。今日、寄り道して帰ろう」

そう言いながら使わないコートの半分にモップをかけてくれる。

「りょーかい」

そう言ってもう少しだけ練習をさせてもらった。


「何食べる?」

に聞くと

「ファミレスがいいよ」

と返事がある。

学校の近くのファミレスに行った。


練習の後のスイーツはこれまた格別で...

「幸せそうな顔して食べるねぇ...」

頬杖をついてが呆れたように呟く。

「幸せだもん」

私の目の前には『春爛漫パフェ』という名の苺パフェが置いてある。

ん〜、幸せ〜!!

私がパフェをつつくのに夢中になってると、突然

「昭一!」

と手を振りはじめた。

ん?昭一ってまさか...

「何で高野くんがここにいるの!?」

「ああ、さっきメール送ったから」

「そんな!」

私は目の前のパフェに目をやる。半分も食べていないそれにさよならを告げるなんて誰が出来ようか。

とりあえず今の私には無理!!


の彼氏は男子部の高野くん。去年委員会が一緒で何だか気が合ったらしく、3月くらいから付き合い始めたそうな。

というか、と高野くんの2人は正直、こう言っては何だけど、親友として言葉を選んだ方がいいんだろうけど、敢えて言わせてもらうわ。

ウザイ。


折角の至福の時が、ちょっとうんざりするひと時になってしまった...








桜風
08.1.2


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