| 待ちに待った。 そう、彼女たちにとってはきっと待ちに待った男子部の体育館の間借りでの練習。 帰りのホームルームが終わって着替えて体育館へ行くと、 「うわぁ...」 思わず声が漏れる。 女子部ってこんなに居たんだ... しかも、皆鈴なりに体育館を半分に分けてるネットにしがみついて男子部の方を見ている。 ものずごーく恥ずかしいんだけど... そして、その中に 「昭一ぃーーー!!」 と手を振っている人物まで。 、お前もか... もう帰ってしまいたいという思いを押し殺して、取り敢えず部外者を追い返すべく声を掛ける。 「じゃあ、部員は名前を呼びます。名前を呼ばれなかった人はすぐにこの体育館から出て行ってください。因みに、返事が無い場合は休みとみなして出て行ってもらいます」 と声を掛けた。 名前を呼べば、皆必死に返事をしてくる。 そして、半分近く呼ばれていない。 だよね。こんなに部員元々居ないもんね... 「はい、名前呼ばれなかった人、返事をしなかった人。今すぐ体育館から出て行ってください。見学は体育館の外からと決まっているはずです」 そう言えば「ちょーウザイんだけどー」などという声が上がる。 ...あなた達こそ邪魔なのよ。 「ストレッチするよー」と声を掛けても反応なし。 もういい。私一人でストレッチする。 しかし、これ以上は男子部に迷惑が掛かる。 仕方ない、奥の手と行きましょうか? 「はい、注目!」 だーれも注目してくれません。まあ、予想通り。 「これからグラウンドを走ります。10周しますが、一番最初に10周終わった人には、現男子バスケ部副キャプテンの花形透さん当時3歳の写真を進呈。尚、ポラロイド撮影なので世界でひとつしかありません」 注目されてなくても言ってみる。 透の名前を出した途端部員たちの目の色が変わる。 「え、何でキャプテンは花形先輩のそんな写真を!?」 「ああ、1年は知らないよね。あの2人幼馴染なのよ」 そんな会話がなされている。 男子部から無言で強烈なプレッシャーが送られてきているけど、今は無視させてもらって。 「ただし、私がトップだった場合はこの話はなかった、ということで。オッケ?」 そう言うと俄かにざわつく。 「簡単な話よ。私を一番にしなきゃいいのよ」 念を押す。 部内で何人かのグループに分かれ始めた。 集団で私の足を引っ張ろうとそう言うことだろう。まあ、そう焚き付けたんだけど... 男子部の方に目を遣ると透がネットの側にやって来た。藤真くんや高野くんは透を指差して笑ってる。 そんな笑い声を背に受けている透は手招きで私を呼ぶ。 「どういうつもりだ、?」 「ヤル気を出してもらわないと、男子部に迷惑が掛かるでしょう?」 「俺に!今現在、俺に迷惑が掛かってる!!」 「はっはー。聞こえませーん。大丈夫、意地でも私がトップだから。でも、負けちゃったらごめんねー」 「どの写真だ!?」 「お姉ちゃんに弄られてたやつ。ヒラヒラのドレス」 そう言うと、透はしゃがんで頭を抱えた。 透にはお姉ちゃんが居て、私と透は幼い頃はそのお姉ちゃんのオモチャだった。 「、絶対に勝てよ...」 「さあ?勝負は時の運といいますし?」 そんな会話をしていると、「キャプテーン!」と呼ばれた。 作戦会議が終わったらしい。 「ごめん、呼ばれたから」 「絶対勝てよ」 「頑張ります!」 戻るともう皆走る気満々。でも、 「ストレッチが先。怪我したら大変でしょう?」 ということで、入念にストレッチを済ませて 「じゃあ、勝負しましょうか。念のために言っておくけど、周数誤魔化せないからね。ウチのマネージャーは、そういうの得意だから」 と忠告して外に出た。 |
桜風
08.1.23
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