ハツコイ 6





今はまだ気候がいい。

あと1ヶ月くらいで梅雨に入る。そして、夏。私は夏が大嫌い。

空を見上げてさらりとした風を感じる。

「おーい、キャプテンさーん。もう皆ヤル気だよ」

振り返ればがストップウォッチを持って手招きしている。

いいじゃん、少しくらい季節の風に身を委ねても...



そして、の合図でグランド10周が開始される。

部員たちも色々頑張ってるけど、何せ、元々の練習量が違いますよ。

どんどん引き離していたけど、一人だけ私についてくることができるのがいた。

あのマネージャー志望だかなんだか分かんない子。

正直焦る。

透の名誉が!プライドが!!

...まあ、そんなのどうでもいいや。

寧ろ、私のプライドの問題よ。毎日練習してる私が負けてどうするのよ!

最後、何とか私の方が先にゴール。彼女もまた、最後の最後でスタミナがなくなってしまったみたい。


屍累々と化した部員たちを引き連れて体育館に戻ると、男子の方は休憩中だったらしい。

「昭一ぃ〜」と手を振る

いいから、マネージャーの仕事しなさい!!



ネットの向こうから透が呼ぶ。

私も結構きついんだけど...

体育館の床の冷たさが気持ちよくて寝転んでいた体を、よいしょと起こしてネットの側へと向かう。

「何?」

「俺の写真は?が勝ったんだろう?」

「私がまだ持っておくことに。ああ、残念残念」

そう言うと、本当に安心したように笑った。

後ろで悲鳴が上がるほどの眩しい笑顔。

ああ、見上げるのに首が痛い。

「お前らさ、そんなだから付き合ってるとかそんなの言われんだよ」

不意に高野くんが声を掛けてくる。

「そんな、と言われても仕方ないだろう」

私の代わりに答えてくれる透。

「花形、結果はどうだったんだ?」

と寄って来たのは藤真くん。

「まだ日の目を見ることは無いらしい」

嬉しそうに藤真くんに報告していた。

「じゃあ、が勝ったのか。まあ、ちゃんと練習して、さらに残って練習しているのはくらいらしいからな。流石だな」

そう言われて「ありがとう」が辛うじて口に出来た。


そのあと、練習に皆は参加してくれた。

まあ、まともに練習をしないと私に勝てないと悟ったのでしょう。

しかし、1年の方が体力あるんだ...まあ、2年はサボってばかりだったからねぇ。

この状況にも溜息。

「そういえば、今年もIH予選出るからね」

一応声を掛けておく。

「このメンバーでですか?」

2年が聞く。

「そうよ。これしか居ないんだから仕方ないじゃない?」

そう言うと、

「恥かきますよ。やめましょうよ」

なんてことを言われた。

あのさー...高校のバスケ部に入っててなんでその大会に出たいとか思わないわけ?

「出ます。取り敢えず、練習に出てもらわないとスタメンすら決まらないから」

そう言っておいた。

ただ、ずっと気になる視線がひとつ。1年の

私は何故あんなにも彼女に睨まれているのだろう?

さっき勝ったから?

違うよね?

透と仲がいいから?

あ、これって正解っぽい。

何だかひと波乱が起きそうなそんな感じです...








桜風
08.1.30


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