| 最近どうも寝不足で、今日の欠伸の回数は半端じゃない。 本を読んでいても眠気の方が勝ってしまう。 「さっきから欠伸しかしてないな」 見上げて首のあたりまでで限界。 「透、おすわり」 「俺は犬か」 そう言いながら私の前の席に座る。 「眠いの...」 「夜遅くまで勉強をしてるんじゃないか?」 「残念。寝始める時間はいつもどおりなんだけど...」 また欠伸。 「気をつけろよ。試合が近いんだから」 「うん...」 「ところで、英和辞書持ってるか?」 突然そんなことを聞かれた。 「持ってるよ。5時間目にあるじゃん」 「貸してくれ」 「はあ?同じクラスなのにどうやって貸すの?」 やばい、バスケばっかりしてたからアホになったのかも... 「俺じゃなくて、藤真に貸してやって」 「へ?」 透は入り口を指差した。 それに気付いた藤真くんが手を振る。 「だから、早く言ってって言ってるでしょう?!」 そう言って机の中の英和辞書を引き出して入り口に向かった。 「悪いな」 「ううん」 「5時間目が英語だろう?」 頷くと、 「ちゃんと間に合わせて持ってくる」 そう言って辞書を軽く掲げて藤真くんは自分の教室に戻っていった。 依然私の席の前に座っている透に、 「何で透の貸してあげなかったの?喧嘩中とか?」 と聞いてみた。透だって英和は持ってるはずだし。 「そんなにガキじゃないって。永野に貸してやったんだ。あいつ文系で同じ授業をとってたからな。朝イチで頼まれた」 なるほど。 でも、藤真くんでも忘れ物するんだ... ちょっと意外な一面を目にした気がする。 お昼をいつものようにと食べていると、藤真くんがやってきた。 「、助かった」 「うん」 辞書を返してもらう。 「藤真くんのところの英語の先生ってシゲぽん?」 が聞く。 「そう」 「うわ、一緒。何か、指名率高くない?さっき別の問題で答えさせたでしょう!って突っ込み入れたくなるよね!!あの先生、1時間で何人当てれば気が済むんだろうって考えちゃわない!?」 興奮気味にそう言うのお行儀は良くない。 「、人に箸を向けないの!」 そう言うと2人はきょとんと私を見て「はい」と箸を下げる。何故か笑う藤真くん。 「何...?」 「いや。今のの言い方が『お母さん』って感じがした」 「いいお母さんになるぞ、」 何だか凄く恥ずかしいんだけど... 「ねえ、藤真君。男子部って今度のテスト期間中の部活動の予定は?」 と。 「朝練くらいじゃないか?一応、禁止だから放課後は出来ないしな」 そう言うとが嬉しそうに携帯を開いた。 「何だ?」 「言わずもがなでしょう?高野くんとデートじゃない?」 と藤真くんの視線が向けられる。 私、何かした?? 「花形くーん!ちょっと、ちょっと此処へいらっしゃい!!」 離れたところで他の男子とご飯を食べている透を手招きで呼ぶ。 その様子が必死で、ちょっと怖い。 「どうした、」 「が...」 感極まった声。 え、私?? 「がどうしたんだ?」 そうだよ、私がどうしたの? 「俺と会話した」 と藤真くん。 あれ? 「がだよ?『おはよう』『じゃあね』『お疲れ』『うん』『いいよ』『はい』『いいえ』『ごめんなさい』『ありがとう』以外の言葉を男子に掛けたんだよ」 え、それだけ聞いたら私ボキャブラリーが貧困なイメージにならない!? 透は困惑気味に説明を求める。 それに応じるは興奮気味。 全て聞き終わった透は、「今日は赤飯だな」とか言うし!! 「何で!?」 「藤真、コレは凄い快挙だ。歴史的瞬間だぞ」 「どうして!!」 「だろう?俺、凄いな...」 もういいよ。分かったよ。歴史的瞬間でいいよ... そう落ち込んでいると教室のドアのところから「花形センパーイ」と手を振る女子の姿が。 あれ? 「てっきり藤真君かと思っていたけど、花形君とはね...」 呆れつつもが呟く。 彼女はウチの1年で、なんちゃってマネージャー志望の。 透は溜息を吐きながら入り口へと向かった。 「いいのか?」 藤真くんが聞いてくる。 何が『いいのか?』なのか分からずに首を傾げると「大切な幼馴染を取られるかもしれないぞ?」と続ける。 「うん」 「気にならないの?」 「というか、透はあしらうの上手だから。お姉ちゃんが居るし、私と一緒に居ることが多いから女の子の扱い上手いよ」 そう言うと、「タラシめ...」とと藤真くんが呟いた。 「それはそうと、あと5分でお昼休みが終わるよ」 時計を見てそういった。 「ヤバイ、次教室移動!」とが立ち、「俺体育だ!!」と藤真くんが慌てて教室を飛び出した。 落ち着きが無いなーと思いつつ、さっき返してもらった辞書を箱から取り出す。 その箱からひらりと紙が落ちてきた。 『さんきゅー、助かった』というメッセージと共に、何コレ?と聞きたくなるイラスト。 きっとシゲぽんだと気付いたら可笑しくて笑ってしまった。 |
桜風
08.2.6
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