Jump! 4





部活が終わった後、は自分が一番最後になったときはこっそりシュート練習をするようになった。

機会としては多くないが、それでもゼロではない。

しかし、1度流川に目撃をされて以来、流川が残っているときは遠慮せずにコートを使わせてもらっている。

彼に頼んでみると「別に」と言って気にしないと言ったのだ。


は手を止めて練習をする流川を眺める。

やはり口から漏れるのは「いいなぁ」という羨望の言葉だ。

休憩に入った流川がチラッとを見た。

は、ツーハンドなら入るのか?」

「ん?うん。フリースローは得意だったよ」

そう言ってフリースローラインに立ってシュートする。ツーハンドシュートだ。

確かに、綺麗な弧を描いてボールがゴールに向かっていく。

「お前はフォームは綺麗だからな」

ポツリと呟く流川に「ホント?」とが嬉しそうに言う。

「おう」と流川が頷く。

「わたしも流川くんみたいな筋肉があればフリースローラインからのワンハンドできたかなぁ...」

そういいながら流川の腕を掴んで腕のラインをなぞる。

「おい」

と少し不快そうな声を掛けられて慌てて手を離した。

「ごめん」

「今ののは、セクハラっていうんだぜ」

流川がそう言って微かに笑った。

「わ、ちょっと。そんなつもりなかったって!でも、流川くんの腕の筋肉、綺麗だよねー...」

「セクハラ」

「違うんだって!」

必死に否定するを見下ろして流川は口元を緩めて肩に掛けていたタオルを置く。

「ボール拾おうか?」

腕も疲れたし、今日の自分の練習をお終いにしようと思ったが流川にそういった。

「おう」

彼女の申し出をありがたく受け入れた流川は練習を再開した。


「流川くんって授業中は寝てるけど、遅くまで練習するよね」

練習を終えて自転車置き場に向かいながらが言う。

「朝も練習してたりして」

「してるけど」

流川の言葉には驚きはしたが「やっぱり」と呟く。

「何だ?」

「練習すればそれがすべて報われるわけじゃないけど、練習量が少なきゃそれはそれで結果がでないもんね。流川くんを天才って言う人は少なくなかったけど、結果に伴う練習をちゃんとやってるんだよね」

「あんま言うなよ」

他の人に言うな、と言うことだろうと思って

「態々わたしが口外する意味がわかんないよ」

が言うと「いいな」と念を押すように流川が言う。

面倒なのか、照れ屋なのか...

前者だな、と思ったは「大丈夫だって」と言って頷いた。

「流川くんは、部活..バスケをしに学校に来てるんだね」

「当然だろう」

それ以外に何がある、と言いたそうに返した流川には笑う。昔の自分のようだ。

自転車置き場で流川と別れて自宅に向かった。

そういえば、毎年インターハイ予選前に練習試合があると聞いている。

そろそろその話が出るのかな、と思いながら自転車を漕いだ。

翌日、練習試合の話が出た。

相手は、強豪校の陵南高校。

選手達が練習に力が入るのは勿論、彩子も気合が入っていた。

高校に入って初めての試合があの強豪校とは...

監督の顔の広さに驚きつつも、は練習試合の日が楽しみだった。









桜風
12.5.16


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