| 他所の学校にお邪魔するのって、緊張するなー。ただ、まあ。男子校じゃないだけマシか... 体育館に入ると、陵南高校バスケ部がアップしていた。 キョロキョロと見渡す。 魚住は分かった。物凄く大きいから分かった。 他は... スコアは見ても、写真を見ているわけではないのでよく分からない。 ひとまずの挨拶を済ませて更衣室に向か。 先日、は彩子に見せてもらった昨年の練習試合のスコアを見せてもらった。 流川は良いといったが、見なくて正解だったかもしれないとまで思った。 「まだ2年生かぁ...」 が呟く。 「なに?仙道のこと?」 「え?あ、はい」 着替え終わったところに思わず声が漏れていた。 「けど、ウチにはまだ1年の流川がいるでしょ?」 彩子はそう言い、「それと、桜木花道」と笑いながら付け足した。 「笑いながら言うの、良くないですよー」 あの何処から来るのかわからない自信は心から呆れつつも尊敬してしまう桜木の顔を思い浮かべて言う。 「さ、行きましょう」 着替え終わった彩子に促されては彼女に続いて更衣室を後にした。 ユニフォームが配られ、桜木が無理矢理流川の10番を取ったため、1枚足りない。 仕方なく、ガムテープで番号を作った。 「ごめんね」とが言いながらガムテープを貼っていく。 再び体育館に戻るとギャラリーも増えていた。 「さん!」 見上げると水戸が居た。 「間に合ったね」 そう声をかけると 「ギリだけどね」 と返ってくる。 「!」 彩子に呼ばれて「はい!」と返事をして駆けていく。 「彩子先輩」 「なに?」 「桜木くん、大暴れです」 陵南のベンチで何やら揉め事中だ。 「あんの..バカ」 額に手を当てて彩子が呟く。 「放っておきましょう。今回のスコアは私がつけるね」 「お願いします」 ガラリと体育館のドアが開いた。 「仙道さん!」 陵南ベンチの誰かが名を呼ぶ。 「でか...」 「まあ、190あるらしいからね」 彩子が淡々と返す。 は振り返って体育館の時計を見た。 「遅刻魔なんですかね」 「間に合ったんだし...」 そう言って彩子は肩を竦める。 試合が終わると結果は、86対87という1点差。 ――敗北だった。 試合が始まったときには陵南監督の田岡は『30点差』を掲げていた。そして、相手はインターハイの県予選シード校。最大19点差があった試合だ。 それを考えれば大健闘かもしれない。 けれど、本当に惜しい試合で、最後の3秒で逆転されてしまっての1点差。 自分が中学生の頃、そんなに強くないチームだったがこんな惜敗をしたことは何度かある。 そのとき、思いのほか悔しくて、それが意外だった。 そして、選手としてコートに立っていたなかったこの試合でこんなに悔しい思いをするなんて想像できなかった。 結局、試合をするのは選手で、マネージャーはそのお手伝い、という感覚でいた。 だから、今の気持ちに戸惑いを覚えていた。 「」 「あ、はーい」 体育館前で挨拶を終えて駅に向かう。 「そういえば、お休みしていらっしゃる先輩が居るんですよね」 電車を待っている間、部員名簿を思い出して彩子に問う。 「え?ええ、まあ...」 何だか曖昧な答えが返ってくる。 「問題児が増えるのか...」 ポツリと彩子が呟く。 「問題児?」 が問い返すと「何でもないわ。たぶん、は大丈夫よ」と笑顔が返ってきた。 変なの、と思いながらは電車を待った。 |
桜風
12.5.30
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