Jump! 11





学校に戻って自転車に跨る。

「じゃ、流川くん。また明日」

そう言ってペダルを踏む足に力をこめると「」と名前を呼ばれて慌ててブレーキを握る。

「なに?」

「時間あるか?」

「宿題は済ませてるし...大丈夫だけど?」

が言うと流川は自転車をこぎ始める。

「え、ついて来いってこと?流川くん、言葉足りないよ??」

慌ててペダルを踏んでは流川の後を走った。

30分程度走ったところで流川がブレーキを掛ける。

公園の前のようだ。

「ここ」

園内の外灯に照らされてそこにバスケットゴールが設置してるのがわかった。

「あ、この間言ってた?」

が問うと流川は頷く。

「へー、ちょっと近いね。この明かりだと心許ないから夜はあんま出来ないけど、朝..日が昇った後なら良いかも」

「テスト期間中とかな」

「まさか...中間テスト期間中、ここでずっと練習してたの?」

が言うと流川は頷く。

「なるほどー」

それで、あんな点数だったんだ。

は凄く納得した。

流川の席の傍を通ったときにチラッと見えた数学の点数。危うく二度見するところだったのだ。

「けど、流川くん。期末は真面目に勉強した方が良いよ」

「面倒くせぇ」

「だって、ウチの学校3つだったか、4つだったか赤点取ったら部活停止だったような気がする。つまり、せっかくバスケ部として全国大会出場が決まっても、赤点のせいで流川くんは行けないかも...」

の言葉に流川は驚いた。

「全国...」

彼女はさらっとその単語を口にした。

勿論、そのつもりで自分はプレイしているが、周りの評価はそうはなっていない。周りの評価を気にするほど可愛げのある性格ではない自分はともかく、彼女はそういうのをある意味客観的に判断しそうだと思っていた。

知らず、流川の口角が上がる。

「聞いてる?」

「赤点取らなきゃ良いんだろう?」

「そら、そうだけど...」

あれだけ授業中グースカ寝ているのだから、後で勉強しようにも中々難しいだろう。

中間テストの結果を見れば、寝ていても良い成績が取れるような才能があると言うわけではなさそうだし。

睡眠学習にも限界があると言うことなのだろう。

とりあえず、リングの場所だけを教えたかったらしい流川は、「じゃあな」と自宅に向かっていった。

「わー、置いてけぼり」

笑ってはそう言い、自宅へと向かって自転車をこぐ。


翌朝、新聞を見るとデカデカと桜木のダンクの写真が載っていた。

ファウルになったプレイなのに、こんな大々的に新聞に載るとは...

の学校、凄いのねぇ...」

朝食の支度をしながら母親が言う。もう目を通したのかもしれない。

「んー、凄かったみたい」

「お母さん、応援に行こうかしら」

「マネージャーの娘の何を応援するの」

苦笑してが返すと

「そっか」

と母が呟く。

中学時代、公式試合で母の都合がつく日は応援に来てくれていた。

その感覚で口にしたのだろう。

「ごめんね、もうちょっと裕福な家庭だったら...」

母が心底申し訳なさそうに言うものだから、

「マネージャーも面白いよ」

は努めて明るい声で言う。

実際、面白いのだが、こんな話題の中で口にする『面白い』は非常に気を遣う。

朝食を済ませては学校に向かった。

学校では、桜木が号外と称して自分のダンクの写真が載っている新聞記事ををばら撒いていた。

「ははっ」とは笑い、記念に1枚手にして校舎に入っていく。

「おはよう」

既に教室にいた石井に声を掛けた。

「おはよう。昨日、遅くなったの?」

「日のあるうちには帰れたよ」

「警備員さんと言うか、大会関係者に追い出されたらどうするつもりだったんだ?」

石井に指摘されて「あ」とは呟く。

「そこまで考えてなかった...」

そんなの言葉に石井は苦笑して、が手にしている紙に興味を持つ。

「桜木くんが、変装して配ってたよ」

そう言いながら石井に見せる。

「ああ、この記事。今朝の新聞に載ってたよ。凄いニュースだったよね」

弱小公立高校バスケ部が、全国大会常連校バスケ部を破ったのだ。

確かに、ニュースだ。

そして、次は決勝リーグ。

次..弱小公立高校バスケ部が、全国大会出場となったらこれまた大きなニュースになりそうだ。









桜風
12.7.4


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