Jump! 13





海南戦の翌日、桜木は学校を休んだらしい。

廊下で水戸に会ったときに聞いてみたら彼が苦笑して教えてくれた。

「えっと、桜木くんって前もこんなこと...」

「さあ?何せ、バスケを始めたばかりだからね」

確かに...

彼はこういう『試合』も初めての経験なのだろう。

「ま、負けっぱなしは性に合わないと思うから」

沈んだ表情のにそう声を掛けた水戸はふらりとどこかに消えた。


放課後、体育館に向かう。

選手達と一緒にコートにモップを掛けていると彩子がやってきた。

「お疲れ様です!」

いつもどおりのの声に対して、選手達は声が小さかった。

途端、彩子のハリセンが炸裂した。

は目を丸くして驚く。

続いて体育館に入ってきた潮崎と角田も彩子のハリセンの餌食となり、それから遅れてやってきた三井と小暮までもがハリセンを食らった。

痛そうである。

彩子は体育館の壁にリーグ表を張り出した。

「いつの間に...」

昨日帰宅して書いたのだろうか...

は驚き、ぽかんとした。

そして、その隣に達筆..な『がけっぷち』という文字も張り出される。

彩子が書いたらしい。

なるほど、マネージャーたるもの、ここまでしなくてはならないのか...

は心のメモ帳にそっと記した。

隣に立っている流川は何となくの考えていることが分かり、溜息をつく。

遅れてやってきた赤木は松葉杖をついていた。

今日は学校を休んで病院で精密検査を受けたらしい。

つまり...

「折れていた..とか」

が聞くと「いや」と赤木が首を横に振る。

「1日でも早く治すために借りてきた」

とのことで、体育館にいる全員が胸を撫で下ろした。

赤木の強い希望だったとはいえ、テーピングを施した身としては、やっぱり気になっていたのだ。

「おう、心配かけたな」

心底ホッとしたような表情を浮かべているが視界に入った赤木が言う。

「ホントですよ」

が返す。

ちょっと生意気に言っても罰は当たらない。

赤木はふっと笑い、体育館の中を見渡す。一番目立つのがいない。

「桜木はどうした」

「今日は来ていなかったみたいです」

が言う。

「クラス違うわよね?」

「水戸くんに聞いたんです」

水戸、と言われて皆は納得した。

「あのバカ、まだあのパス気にしてるのかよ...」

三井が呟いた。


全体練習が終わり、昨日が試合だったこともあり、選手達は居残りをしないようだった。

なら、残って...

そう思ったがどうやら雲行きが怪しい。

「おい」

体育館のドアを開けて空を覗き込むように見上げているに流川が声をかけた。

「今日はどうすんだ?」

「ごめん、今日はパス。雨降りそう。自転車だし」

が言うと「気をつけてけよ」と流川が言う。

驚いた表情で自分をじっと見るに流川は居心地悪そうに「なんだよ」と言う。

「あ、いえ。ありがとう」

「おう」

まさか、流川の口から、あんな気遣い溢れる言葉が聞けるとは...

「あ、流川くんは残るの?」

「...おう」

「程ほどにね。授業中にあれだけ眠りこけてたから体力は随分回復してるかもしれないけど、昨日試合があったばかりなんだから」

が言うと「おう」と面倒くさそうに返事があった。

「じゃ、お先!流川くんも雨で体冷やさないようにね」

そう言っては体育館を後にした。









桜風
12.7.18


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