| 桜木が休んだ翌日、つまり海南戦の2日後。 が放課後体育館に行くと赤い坊主が居た。 「わー...」 これまた迫力が増した。 「桜木くん、物凄いイメチェンだね」 「おう」 の言葉にどこか居心地が悪そうに桜木が返した。 その翌日の水曜の練習は軽く終わった。 その代わり、1年対2・3年の紅白戦が行われた。 ハンデと言って三井は審判をやっていたのだが、途中から三井が2・3年チームに入る。 三井が入るまでは桜木の独壇場と言っても過言ではない試合だったと言うのに、三井が入った途端に桜木はゴール下に入れず何も出来ない状態になる。 「さすが、三井先輩上手いですね」 が呟く。 体格差も何のその。桜木をゴール下に入れないディフェンスを前になすすべのない桜木は、彼自身、彼の課題に気付いたらしい。 「こりゃ、ムリか...」 部活の後は、きっと桜木のシュート練習が始まる。 つまり、の練習はできなくなる。 練習と言っても、趣味のようなものなのだから仕方ない。チームが勝てるほうが嬉しいので、筋トレに励むことを決めた。 金曜日の朝、思いのほか早く目が覚めた。 少し悩む。 流川に教えてもらったバスケットゴールのある公園は、自分の家からの距離だとちょっとある。学校からだと近い。 しかし、ジャージを着て登校はできない。 駅のトイレで着替えるか? うーん、と悩み。 ちょっとだけ練習をして、家に帰って着替えて学校に行くというコースに決定して家を出た。 公園の中に入ると、誰かが練習をしていた。 誰か、ではなく予想はしていたが流川。 流川も桜木の練習があるから、練習後は体育館が使えなくなっている。 使っても言いのだろうが、お互い効率が悪くなりそうだ。 何より、桜木に時間がないし、彼が上達すればチームとしてのレベルアップになると言うことは、普段いがみ合っている流川でも分かることだろう。 今、一番成長するのは桜木だろうし。 やっぱり帰ろうかなと思っているとボールが転がってきた。 「おい」 「おはよう」 見つかってしまった。 「来たのか」 「うん、ちょっとボール触りたくなって」 そう言って転がってきたボールを流川に渡す。 「なら、やってけば」 「けど、流川くんの練習...」 「ちょっと休憩。フリースローラインの位置分かるか?」 あまり自信がないが、 「ここ..かな?」 と立ってみた。 の隣に流川が立つ。 「もう1歩下がれ」 そう言いながら1歩下がり、彼女の腕を掴んで自分の隣に立たせた。 「わかるの?」 「これまで何本打ってきたと思ってんだ」 「御見それしました」 そう言いながらはその場所に線を引く。 体育館と違って、外れたボールは壁にぶつかって戻ってくることがない。 朝からかなりの運動量だ。 「変な力入ってんぞ」 ベンチに優雅に腰掛けている流川が言う。 「ホント?」 風景が違うからかな? はボールを追いかけながらそんなことを思っていた。 フリースローラインの線を引いた場所に戻って軽く小さくジャンプする。体に力が入っているのをほぐすためだ。 「よっし!」 2回ボールを弾ませて構える。 ジャンプしてボールを離す。 「短ぇ...」 だが... ダム、とリングにぶつかってボールが戻ってきた。 「当たった!!」 振り返って流川に向かって言うと「おう」と流川は頷く。 どこか、優しいその表情には慌ててボールを拾う。 いつもの無愛想な流川とちょっと違って見えて驚いてしまった。 「、時間いいのか?」 「時間?」 言われて腕時計を見て「きゃー!」と声を上げる。 これから自宅に戻り、汗をかいたのでシャワーを浴びて、登校...間に合うか?! ちなみに、時計を見た瞬間、朝食は諦めた。 「じゃ、俺は帰るから」 「うん。ゴール、使わせてくれてありがとう」 「俺んじゃねぇ」 そう言って流川はマウンテンバイクに跨る。 何とか遅刻を免れて教室に飛び込んだに流川が呟く。 「すげぇ髪」 「う、うるさい...」 手櫛で整えながらは自分の席に着いた。 |
桜風
12.7.25
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