| 土曜日に武里戦。 しかし、桜木がやってこない。 はそわそわして、結局体育館の外まで出てしまった。 外で桜木を待っていると、第二試合のチーム、海南が傍を通った。 チラとを見てそのまま通り過ぎる。 制服を着ていたので湘北というのは分かったのかもしれないが、彼らはがマネージャーだというのは知らない。 そして、陵南も傍を通った。 怖いなぁ... 背高集団の人数が多いと迫力が違う。 いつもが目にしているのは湘北の少ない人数の背高集団だ。翔陽だったらもっと怖いだろうなぁ... 「あれ?」 背後から声がした。 「湘北のマネージャーちゃんじゃない?」 驚いては振り返る。 「あ、やっぱりー」 「仙道!」 魚住が窘める。 「立たされ坊主なの?」 「自主的な立たされ坊主です」 が返すと仙道は愉快そうに笑い、「試合見なくて良いの?」と言う。 「見たほうが良いんでしょうけど。気になることがあるので」 「ふーん」と返した仙道は満足したのかその場からいなくなった。 やがて物凄い速さで自転車が会場にやってきた。 「桜木くん!」 「ふぬー!!」 「早く行って!わたしが自転車駐輪場に置いておくから」 そう言っては桜木が放り出した自転車を起こした。 「頼む!」 桜木はあっという間に見えなくなった。 時計を確認する。 後半、それも終わりのほうだ。 「試合、出してもらえるのかな?」 首を傾げながら、桜木の自転車を駐輪場へと押していった。 スタンドに戻ると、桜木の出場機会がないまま試合は湘北の勝利で終わったことがわかった。 一度控え室に顔を出して、控えの選手とともにスタンドの席を確保していると試合に出場したスタメンたちが遅れてやってくる。 第一試合が初戦敗退した湘北と武里の試合。そして、第二試合は、それぞれを下した海南と陵南の試合だ。 つまり、ここで勝利すれば全国大会への出場権を手にすることになる。 試合前のアップの時間、両チームは何となく対極に見えた。 元々チームのタイプが違うからだろう。 魚住を始めとして、陵南は大きいチームだが、それに対して海南はそれほど大きなチームではない。だが、淡々とアップしているその姿は王者の風格を思わせる。 「ラスト!」 時間となり、両チーム集合が掛かった。 ダムと大きな音がしたかと思うと海南側で清田がひとりアリウープを決めようとして、失敗した。 それに対して陵南側は、仙道がパスを出して練習試合には不在だった選手がアリウープを決める。 桜木曰く、その不在だった選手は『フクちゃん』というらしい。 先輩達の誰も知らないらしい。 そして試合が始まると会場がざわめく。 仙道がポイントガードを担当している。小さい選手に多いそのポジションを仙道が担当するのだ。 奇策とも思われる起用だったが、仙道の視野の広さやパスセンスが発揮され、海南は最初のタイムアウトを取らざるを得なくなった。 試合は、前半陵南の10点リードで折り返しを迎えた。 後半も陵南の勢いは止まらなかったが清田が流れを変え、海南に勢いがついた。 桜木、三井、宮城に流川は試合の途中だと言うのに席を立ち、帰っていった。 途中、陵南のキャプテンである魚住が退場した。 残り5分と言うところで、赤木を呼ぶ声が聞こえた。 赤木が応じるために席を空ける。 戻ってきたときには血相を変えており、小暮と彩子とともに会場を後にした。 自宅からの電話だったらしいが、安西が倒れたとの連絡だったとのこと。 残りの部員達は試合を最後まで観戦して合流するように指示をして、彼らは様子を見るために病院に急行した。 試合終了のホイッスルが鳴った。 結果は、海南の勝利で、17年連続のインターハイ出場を決めた形になった。 「さ、行こうか」 安田が部員達に声を掛けて退出を促す。 体育館前でタクシーを捕まえてぎゅうぎゅうに相乗りし、安西が運ばれた北村総合病院へと向かった。 病院に着くと赤木達は玄関前に立っていた。 安西の状況を聞くと、大事には至らなかったが明日の試合は無理だとのことだ。 彩子に観戦していた試合の結果を聞かれて安田が答える。 「スコア、付けておきました」 がノートを渡す。 決勝リーグ出場チームの成績は、現段階で、海南が2勝でインターハイ出場を決めている。 神奈川県はインターハイに出場できるのは2チーム。 つまり、インターハイへの出場権はあと1チームが手にできる。 武里は今日で2敗なので、インターハイへの出場は消えた。 つまり、明日の湘北陵南戦で勝った方がインターハイに出場できる。 「わかりやすくていい」 赤木が言う。 確かに、得失点差とかそういうのを気にせず、勝敗で結果がでるのだ。 難しいことを考えなくていいのは良い。 |
桜風
12.8.1
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