風と雲/きみと私 7




皆の協力により、私の膝の痛みも引いた。

というか、冷やしすぎて感覚がなくなったと言うほうが正しいかも...

だから、感覚が戻ったときが怖いなー、なんて思う。

「ごめんね、大人気ないことをした結果がコレで」

部員たちに謝ると口々に「いいえ!」と凄く心配そうな顔をして言ってくれる。

可愛いじゃないの!

「仙道。ついでだからお前、先生を送っていけ」

待て、池上!!何勝手に仕切ってんだ!?

「分かりました」

何、神妙な顔をして頷いているんだ、仙道!

「よし。じゃあ、今日は解散するか」

こら、魚住。勝手に締めるな!!

私の心の叫びが届くことはなく、結局仙道くんに送ってもらうことになった。

さんの自転車って荷台はありませんよね?」

「『先生』と呼びなさい」

「でも、俺との初めての自己紹介でさんは名前しか教えてくれなかったじゃないですか」

「それは仙道くんも同じでしょう?」

「じゃあ。俺のこと、『彰』って呼んでくれて構いませんよ」

「私が構います。とにかく、『先生』と呼ぶように」

そう言うと「ちぇ」と不満そうに呟く。

「そう。話は戻りますけど」

簡単に気持ちが切り替わる。

「何?」

先生の」

確かに、『先生』って言った。仕方ない、ファウルは取らないでおこう。

仙道くんは私の顔を伺っていた。ファウルかどうか、ラインを引きたかったんだろうね。

先生の自転車は荷台が無いですよね?」

改めてそう言う。

「ああ、大丈夫。今日は偶然車だったから」

右足は平気だから、きっと大丈夫。

「え、じゃあ。俺も乗って帰りたいです」

「ちょっと待って。趣旨が変わったよ、今。違うでしょう?仙道くんは私を送って帰る。でも、私は車だから、仙道くんに送ってもらう必要が無い。因って、仙道くんは独りで帰る。おけ?」

「ちぇ」ともう一度呟く。

車のところまでは送ってもらって

「じゃあね、また明日」

「デート、忘れないでくださいよ」

そんなことを言う仙道くんは少しだけ可愛い。

「大丈夫。最近のイイ女にも二言は無いのよ。田岡先生にちゃんと話すから。じゃあね、おやすみ」


翌日、左足の膝は少しだけ疼くけど歩くのに支障は無い。

今日は自転車で学校へ向かった。何となく、そんな気分。

正門のところにツンツン頭が立っていた。

「あら、早起き。おはよう」

「おはようございます。足は?」

「ちょっと疼くけど。大丈夫、歩けるわ」

そう言うとほっとしたように笑った。

あー。仙道くんのこういう笑顔、懐かしいなーって思う。


昨日の出来事を田岡先生に説明する。

「何本まで持った?」

「100本が限界でした」

そう言うと先生は眉を上げる。

「凄いな、そこまで持ったのか」

「まあ、半分以上は意地ですけどね」

そう言うと、田岡先生が笑う。

「まあ、そう言うことなら仕方ない。仙道は少しの間貸してやろう。しかし、アイツから突っかかるなんて珍しいな」

「ホントに」

愛想笑いを返して話を切り上げた。


放課後、部活に出るべくジャージに着替えて体育館へと向かう。

先生」

と言って肩を叩かれる。

「仙道くん」

「今日の買出しは何ですか?」

「さあ?1年の子達に聞いてみないと」

そう、答えると

「そうですか。じゃあ、先に行っときます」

と足早に去っていった。

準備運動が済んで、田岡先生から許可が下りる。

1年の子に買出しに必要なものを聞いてみると、いつもよりも多い。

「多くない?」

「い、いえ。多くないですよ」

ひとりが答えて、皆も頷く。

「まあ、荷物を持つのは私じゃないからいいけど...じゃあ、仙道くん。行きましょう」

「何で行きます?」

「歩きでいいよ」

「でも、膝が痛いでしょう?自転車にしません?俺漕ぎますし、負荷がかかってるから、いい体力づくりになると思いますし」

「ダーメ。歩こう。他の生徒たちに目撃されたら、なんて言われるか...田岡先生に怒られるわよ」

「ちぇ」と仙道くん。

え、これって口癖ですか?!

何だか新発見。というか、可愛くない!?










桜風
07.7.10


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