風と雲/きみと私 10





結局、陵南の決勝リーグの成績は1勝2敗で第3位。

全国にはいけなかった。

しかも、決勝リーグ直前での番狂わせ。

あの神奈川の双璧、翔陽をウチが練習試合で破った湘北が下して決勝リーグに出てきたのだ。


そして、我が陵南は、緒戦の武里に快勝したあと、海南に惜敗。そして、湘北にも。

海南の試合を見たときには、本当になんていっていいのか分かんないけど、色んな感情がごちゃ混ぜになって、涙が溢れて仕方がなかった。

本当に、あの怪物って呼ばれる、帝王って呼ばれる牧紳一に引けをとらないプレイをしたんだよ、ウチのエース。

そして、因縁の湘北戦。

皆が皆全力を出してプレイした。

田岡先生が、試合後のインタビューで言ってたけど、選手は100%の力を出してた。でも、敗因が先生にあるという発言には頷けない。

何だろう。

ウチが湘北に劣っているとは思ってない。

けど、誰も、何も悪くなかったんだって思う。

こう感情論を出したら、田岡先生にまだまだだって言われそうだけど。



3年生が引退することになり、体育館で部員たちの前で挨拶をする。

感極まって言葉が出なくなった魚住くんだったけど、彼に代わって挨拶をした池上くんは意外にあっさりしたものだった。

「ま、池上くんは地道に受験生だもんね」

挨拶に来た彼にそう言う。

「はい。先生にはまだお世話になります」

「はいはい。お世話しちゃいましょう」

そう言って笑う。

「先生、仙道さんが来てはりません」

相田くんが心細そうに私に言う。

「寝てるんじゃないの?」

そう言うと「そんなー!」って頭を抱えていた。

「先生」

と魚住くんが声を掛けてくる。

「はい?」

「仙道のこと、よろしくお願いします」

深々と頭を下げられた。

「えーと。私には彼に教えられることは無いんだけど...」

「そうかもしれません。でも、アイツは先生を頼りにしているみたいなので」

いやー、頼られても困るってのが現状なのですが...

「ま、大丈夫でしょう。安心して引退なさい」

偉そうにそう言うと池上くんも魚住くんも深く頷いた。

「あ。そういえば、魚住くん」

「はい」

「もしね。もしも、魚を釣って持っていたら捌いてくれる?」

「まあ、俺はまだ全然素人のようなものなので上手く捌けませんが。練習としてなら、たぶん...」

自信なさげにそう言う。

「おっけー、ありがとう。しっかり修行を積んでおいてね」

私の言葉が唐突過ぎたのか、魚住くんは「はぁ...」と曖昧に答えた。










桜風
07.7.17


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