想いは風に乗せて 2






4月の始業式の日、この上もなく仙道は上機嫌だった。

クラス替えの掲示を見てすぐに教室へと足を運んだ。3年4組。教室のプレートを見てまたニヤつく。

そんな仙道の様子を目にした越野と福田が

先生も大変だろうな」

「仙道が大人しくしていればいいんだけどな」

「無理だろう?」

「だよな...」

と既にに同情の念を送っていた。


教室の前で深呼吸を1回。

ドアを開けて教室へ入る。

仙道と目が合った。ニコニコと笑みを浮かべている。

こっそり溜息を吐いて教壇の前に立った。

必要な連絡事項と、委員会を決めてその日のHRを終了した。

自分が高3のときってこんなにすぐに終わったっけ?と悩みながら自分のメモを見て確認しながら教室を後にした。

1時間弱のHRだったというのに非常に疲れた。


職員室に帰って自分の机にべったりと上半身をつける。

「大丈夫か?」

「わかりません。不安ばかり残って...なんで私を3年の担任にって話になったんですか?」

コーヒーを持ってきてくれた田岡から「ありがとうございます」とそれを受けとって聞いてみた。

はどちらかと言えば、ハードルが高ければそれに合わせて成長できるタイプだからな」

「段階を踏んで成長したいですよ。高校3年なんて彼らの人生を左右する一番の時期じゃないですか」

コーヒーを一口飲んでそう抗議する。

「まあ、やってみなさい。私は勿論、他の先生方も期待しているのだから」

田岡にそう締められては肩を竦めながら「はい」と返事をした。

期待されるとそれに応えなくては、と思ってしまうのがという人物だった。


色んな先生に体験談を聞いたり、アドバイスを受けながら何とかひと月経過した。

教室での仙道は驚くくらい素直で、正直は気味が悪いとか思っていた。

そんなある日、が体育館へ向かうと体育館の中に知らない人物が立っていた。

この学校の関係者とは思えず、さて、どうしたものかと悩む。

こんな日に限って、田岡はIH予選の監督者会議というものに出席していて不在だ。

まあ、仕方ない。

体育館にいるその人物に向かって歩き出した。

そこには

!?」

高校時代からの親友がいた。

「なーんだ、か」

「『なーんだ』、って何?親友に向かって」

「いや、遠くからだったらわからなかったの。一瞬不審人物かと思っちゃったくらい」

「まあ、最近が忙しいから会ってないもんね。あたしとも休みが中々合わないしね。でも、いきなり3年の担任って...」

「田岡先生の策略よ」

がそう言うとは笑いながら「なるほど」と頷いた。

「どうしたの、今日は?」

「んー?久しぶりに母校に来てみたくなったの。けど、から聞いてたとは言え、やっぱり女バスがなくなってるのは結構ショックだね」

「デショ?」

そう言ってが苦笑いした。自分も同じ気持ちになったからだ。

2人が笑いあっていると体育館に別の来訪者があった。

「よう!」

入り口からそう声が聞こえて皆は注目する。

ちゃっかりの隣に立っていた仙道は、彼女の呟きが聞こえた。

...?」

の声に、仙道は一瞬胸を詰まらせた。










桜風
07.9.21


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