| 仙道たちが卒業して数日後。 仙道はの部屋の前に立っていた。インターホンを押してみても反応がない。 「...さん?」 声を掛けると 「ああ、さんはお出掛けですよ」 と誰かに声を掛けられた。 「でも、いま帰ってきましたね」 その誰かはで、仙道は笑顔でそう言った。 「何?流石に早すぎだよ??」 今日はバスケ部後輩たちによる3年の追い出し会の日で、久しぶりにバスケ部が集まるのだ。 その日は大抵部活は午前中で、夕方から集まるため、ただ今の時刻は少し早い。 は部屋のドアに鍵を挿して鍵を開ける。 「...上がるの?」 「そのつもりです」 仙道の返答には呆れたようにひとつ溜息をついて「どうぞ」と言った。 「今日、全員集まるんですかね?」 「わかんないね」 「あれ?彦一、何も言ってなかったんですか?」 部長でないものの、こういうことを仕切るのが上手い彦一が今回の幹事だと聞いた。 「ああ、私今日は部活に出てないから」 「何処か悪いんですか?」 心配そうに聞いてくる仙道には「ううん」と笑顔で首を振る。 「結婚が決まったからね」 のその一言に、仙道は呆然と立ち尽くす。 「え、あの、結婚って...?」 「兄がね、奥さんになる人を連れて来て挨拶をするって言うから家族全員に集合がかかって。田岡先生に話すと今の時期なら別に構わないって言うから実家に帰ってただけ。...仙道くん?」 魂が抜けたような表情の仙道には近付いて顔の前で手をヒラヒラさせてみた。 「あ、ああ。お、お兄さんですか...さんは、お兄さんがいたんですね」 いやな汗掻いたな... 「姉もいるけどね。こう見えて末っ子」 そう言って笑った。 ふと、テーブルの上を見ると何か紙が沢山置いてある。 「何ですか、あれ」 仙道がそれを指差す。 「ああ、卒業式の時の写真を現像したから皆に送ろうと思って。住所がわかんない子は学校で担任の先生に聞いたしね」 そう言って鞄から厚い封筒を取り出す。 「お店で現像したんですか?」 の部屋にはプリンタだってある。やろうと思えば自宅で現像が出来る。 「うん。流石に多かったからね。あ、ちょうどいいや。仙道くんも手伝って。もう宛名書いてるから、その上に写真を置いていって。クラスメイトの名前と顔くらい一致するでしょ?他のクラスの子は私するから」 に言われて仙道はテーブルにつく。正直、自信ない... はそのテーブルから何枚かの封筒を取って行って床に並べる。恐らく他のクラスの生徒たちのだろう。 「何か入ってますよ?」 封筒から何かがのぞいている。 「ああ、手紙。写真だけって味気ないでしょ?一言書いておこうって思って」 そう言って笑う。 仙道はすぐさま自分の封筒を探し出して中身を見るが、空っぽだった。 「俺のには何も入ってないですよ?」 ちょっと拗ねながらそう言う。 「だって、仙道くんには手渡しする予定だったし。だから、越野くんたちのも何も入ってないよ」 そう言って自分の前に並べている越野たちの封筒をヒラヒラと振る。 「俺も、欲しいです」 仙道が呟く。 は驚いて振り返り、苦笑いを浮かべて「今回は諦めてよ」という。 口を尖らせて仙道は頷いた。 「そういえば、引越しの準備はできたの?」 「はい、一応。元々あまり物を置いてませんでしたから」 仙道は大学の寮に入るらしい。 親戚の家に下宿していたのだが、いい機会だからと言っていた。 「寮って言っても殆ど一人暮しに近いんでしょ?」 「まあ、そうらしいですね。大学がアパート借りててそこに入るって形ですから。あ、後で住所教えますね」 いや、別にいい... とは思ったが言わないでおいた。 その後、2人は黙々と写真の仕分けに集中して顔を上げたときにはもういい時間だった。 封をしてそれらを束ねる。 「でさ。凄い今更でゴメン。仙道くんは何でうちに来たの?」 本当に今更だな、と仙道は苦笑を漏らす。 「時間があったんで。今日のに一緒に行こうかと思ってたんです」 「ああ、なるほど」とは頷いた。 「じゃあ、そろそろ出る?」 「まだ早くないですか?」 「郵便局、行きたいのよ。コレ、出そうと思ってさ」 そう言ってさっき束ねた手紙の束を手に持つ。 仙道も納得して立ち上がった。 「何のお構いもしませんで」 とが言うと仙道は笑顔で 「いいですよ、また来ますから」 と言う。 来るのか... は肩を竦めた。 |
桜風
07.12.26
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