| に告げたその火曜日、仙道が体育館へ行くと早速田岡に歓迎された。 体育館の中を見渡してもが居ない。 「あれ?先生は...」 「ああ、は教え子が来てるからちょっと外している。この間までお前と同じクラスだったヤツだ」 田岡の言葉に仙道は驚く。 「良く誰かしら来てるぞ。予備校に通っている子たちが進路の相談とかに、な。は歳も近いから相談しやすいんだろう。私に相談されても、今の子達の感覚を理解して相談には乗れそうにないからな」 そう言って苦笑する。 仙道はつまらなさそうに数回頷いた。 折角会いに来たのに... その後、田岡に言われてスタメンたちの練習を見てやる。 ああ、俺ってマジメ... 遠い目をしてそんなことを思った。 しばらくして「遅くなりました」とが体育館へやって来た。 「ちはー!」「チューッス」 部員たちが口々に挨拶をしてくる。 その中に仙道が居ることに気づいた。 ああ、そういえば言っていたなぁと思い出す。 「久しぶり」 「会いに来ましたよ」 「...それは、ご苦労様です」 そう言って控えの選手たちの方へと向かっていく。 仙道は面白くなさそうに肩を竦めて練習を再開させた。 練習が終わっても残って練習するものは少なくなく、はやはりそれに付き合っている。 仕方なく仙道もそれに付き合っていた。 結局やはり時間ギリギリまで練習するものもおり、帰る時刻が遅くなる。 「さんは相変わらずですね」 職員室へと続く廊下を並んで歩く。 「相変わらず?」 「楽しそうにバスケしますね」 そう言われてきょとんと仙道を見上げてやがて破顔した。 「楽しいよ」 「でしょうね」 職員用の更衣室の前まで来て 「ちょっと待ってて。あ、先に職員室に行っててもいいけど...」 と言われる。 「待っておきますよ。何なら、一緒に中に入って待ちましょうか?」 笑顔で仙道が言うとも笑顔で 「警察呼んでもいいならねー」 と返して更衣室の中に入っていった。 「ホント、相変わらずだよな」 仙道は情けない声で呟いた。 職員室へ行き、の荷物を取ってきて帰路に着く。 「何か食べて帰りませんか?」 仙道が提案する。 は、「んー...」と考えて「じゃあ、ウチでご飯作ろうか」と言った。 「いいんですか?」 「ていうか、給料日前だから外食はちょっと避けたいってのがホンネなの」 はにかんでそう言う。 スーパーで材料を購入しての家に帰った。 部屋のコルクボードには写真が増えていた。 しかし、仙道は 「ねえ、さん。これ外しません?」 と提案する。 が不意打ちした卒業式の時の写真だ。 「えー、いいじゃん。それ見たら楽しい気分になるんだよ」 笑いながらそう言う。 そういわれると何だか取りづらい。 仙道は諦めてコルクボードから離れた。 「そういえば、さんは今年は何年の担当ですか?」 「2年の副担。修学旅行にいけるんだー」 嬉しそうにそう言う。 修学旅行...仙道にとっては何だかちっとも面白くない。 「今年は何処ですか?」 「北海道に3泊4日。今年もスキーの修学旅行だよ」 軽快に包丁を鳴らして何かを切っているは振り返らずにそう言う。 「そういえば、仙道くんは自分でご飯作ってるの?」 「殆どコンビニです」 「体に悪いよ。ちゃんと食べないと」 「じゃあ、さんが作りに来てください。大歓迎です」 包丁の音が止まった。 は振り返り、 「料理をしてこそ自立よ。頑張って!」 と一言返す。 「ちぇ」と仙道が呟いた。 「まあ、取り敢えず手伝って料理を覚えたらどうかしら?」 にそう言われて仙道が立ち上がる。 つまりは手伝えと言っているのだ。 「何しましょうか?」 の指示に従って仙道が手伝いを始める。 例によって 「こうして2人で料理をしていると新婚さんみたいですね」 と言うと 「ソウデスネ。そこのボウルとって」 適当に返される。 仙道の胃袋に合わせて作ったつもりなのに、あっという間に平らげられては唖然とした。 「仙道くんの家って、エンゲル係数高そうだね...」 の言葉に仙道は首を傾げて「そうかもしれませんねぇ」と返事をした。 |
桜風
08.4.9
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