| の部屋のインターホンが鳴り、ドアを開ければ、そこには遅刻魔のはずのがいた。 「時間前だ...」 「偶には時間を守ってもいいでしょう?」 「雨が..あ。降らないや膝が痛くない」 「でた、膝天気予報」 がそう言い、2人して笑った。 「どうぞ」 に促されてがの部屋にあがる。 「そういえば、あたし初めてじゃない?」 「え、ホントに?あ、ああ。そうかも...」 引っ越して1年以上経つのにがこの部屋に来るのは初めてだった。 「適当に座って」とが声を掛けて冷蔵庫へと向かう。 は部屋の中を見回してニッと笑う。 「ねえ、。この写真って...」 コルクボードの写真を指差した。鳩が豆鉄砲を食らったような面白い顔をしている仙道がいた。 「ん?ああ、それ。笑えない?」 「笑える。どうしたの?」 「ちょっとね、リベンジしたのよ。2年、..3年越しに」 そう言いながら缶ビールを渡す。 「さんきゅー。ああ、あたしも持ってきたんだった。後で飲もう」 そう言って鞄から箱を取り出す。 「お、焼酎ですか」 「ですよ」 そう言ってはテーブルの上にそれを置いて座る。 は既に作っておいた料理をもう1度温めて器に盛り、テーブルに運ぶ。 を待つ間、は先日卒業した学年の卒業アルバムを見ていた。 「おお〜、が先生みたいだ」 「先生だよ。はい、先食べてて」 「ううん、待つ」 が用意をしている間、楽しそうには卒業アルバムを捲っていた。 「今年は何年生?」 「2年の副担。楽だわー...」 「だろうね。去年は凄い大変だったんじゃない?」 「まあ、それなりに。でも、色んな先生方が声を掛けてくださったから。はい、出来たよ。食べよう」 食卓が整い、が声を掛ける。 はアルバム閉じて姿勢を正した。手を合わせて「いただきます」と言って料理に手をつける。 「ん!美味しい!!」 「ホント?」 「これならいつでも嫁に行けるよ」 「じゃあ、後は相手だけだね」 がそう言って笑うと 「仙道くんが居るじゃん」 とに言われて噴出した。 「ごめん」 「ううん。で、仙道くんとはどうなの?」 興味津々にが顔を近づけてくる。 は体をそらせて距離を取る。 そんなに焦れて「で?」ともう1度言う。 「別に、何にもなってないよ」 「うっそだー。あたしが入ったことのないこの部屋に入ったことがあるんでしょ?」 「...なんで知ってんの?」 「ああ、仙道くんにあたしとが中学のときからの友達だって言われてね。に聞いたの?って言ったら部屋で写真を見たって。アレでしょ?」 コルクボードを指差す。 振り返って写真を確認して「たぶんね」と頷く。 「でも、仙道くんとは本当に何でもないの」 「そうなんだ...」 はそれ以上追求しようとしなかった。 食事をしながらの持ってきた焼酎も開ける。 段々酔いが回ってきたなと思っていると、 「仙道くんってさ」 とがポツリと呟く。 「ん?」 グラスに口をつけたままが話を促す。 「仙道くんってどうも分かんないんだよね」 「どういう風に?」 「何だろう。何だかんだ言ってさ。どこまでも優しいの。攻め気で来たかと思うと私が困ってたら逃げ道を空けてくれるんだよね。此処からなら逃げられますよーって」 「うん...」 「だからさ、逆にどうしていいのかわかんない。自分がどうしたいのか考えなくても楽な方に逃げる道を作ってくれてるからさ」 そう言ってグラスの中を飲み干す。 「大人じゃん」 「うん、私よりずっと大人。でも、自分のことを子供だって思ってるんだよね。まあ、時々何処の駄々っ子だろうって思うときあるけど」 そう言っては目を細める。 「で、は仙道くんのコト、どう思ってるの?」 「考えてない。何か、怖いからさ」 それが答えだというのに。 はそれを言うべきか悩んだが、無理に答えに導く必要はないだろうと思い、何も言わなかった。 |
桜風
08.4.16
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