| 海南大附属高校バスケ部は全国でも有名だ。 中でもキャプテンであり、PGの牧紳一は全国区のプレイヤーである。 そんな学校のバスケ部のマネージャーとなったは目の回る忙しさを体験していた。 部活が終わるときには、も他の部員同様にへとへとになっている。 それに、片づけがある分部員たちよりも上がりが遅くなることもしばしばだった。 家が近くて良かったと常々思う。 その日も部員たちの使用したTシャツやタオルなどの洗濯、飲料水等の後片付けなどで帰るのが遅くなった。 忘れ物をして体育館に戻ると、まだ灯りがついており、コートで弾むボールの音が聞こえる。 ガラガラ、とドアを開けて中を覗くと見とれてしまうほどの美しいシュートフォームでボールを放つ神の姿があった。 の姿に気付き、にこりと笑う。 「どうしたんだい、こんなに遅くに」 「あの、忘れ物をしたので取りに戻ったんです...」 神は辺りを見回し、体育館の隅に丁寧にたたまれているタオルを発見した。 「これ?」 「あ、はい。そうです」 靴を脱いで体育館に入る。 急いで神の元へと行き、受け取る。 「あの、」と声を出す。 「ん?」と首を傾げての言葉を待つ神。 「神さんって、いつもこんなに遅くまで残っていらっしゃるんですか?」 「うーん、まあ。ね」 何故か困ったように笑う神に今度はが首を傾げる。 「一人でですか?」 「俺が自分で決めた課題だからね。ちゃん、帰るの急ぐ?」 「いえ、特には急ぎませんけど...」 そう答えると神はにこりと微笑み、 「じゃあ、もし良かったらもう少し待ってて。あとちょっとで終わるから。もう暗いし、送っていくよ」 と言う。 「いえ、そんな。神さんだってお疲れなのに、私、送ってもらっちゃったら神さん、家に帰るのが遅くなりますよ。いいです、御迷惑かけられません」 ぶんぶん、と手を振って断るが、 「俺は迷惑だって思ってないよ。じゃあ、ちゃんも時間があるようだし。待っててね」 そう言って3Pラインに戻り、抱えていたボールを放つ。 綺麗な弧を描いてそれはリングに吸い込まれていった。 何だかもう、待っていないといけない雰囲気となってしまったは家に居る信長にメールをする。 Time 21:11 To ノブ Sub ごめん ――――――――― 帰るの遅くなる。 すぐに返信が来た。 Time 21:12 From ノブ Sub Re;ごめん ――――――――― どうした?迎えに行くぞ Time 21:13 To ノブ Sub Re;Re;ごめん ――――――――― いいよ。神さんが送ってくるって。 Time 21:13 From ノブ Sub Re;Re;Re;ごめん ――――――――― 何で神さん!? Time 21:14 To ノブ Sub Re;Re;Re;Re;ごめん ――――――――― いや、何でだろうね... とにかく、そんな話になったので。 ご心配なく。 お母さんたちにもよろしく☆ そうメールを切り上げて顔を上げる。 またシュートが決まった。 「神さん」 が声を掛け、神は手を止める。 「何?」 「あと何本ですか?」 「10本だよ。何、急ぐ?家の人に怒られる?」 「いいえ。じゃ、球拾いを始めてもいいですか?手持ち無沙汰になっちゃって」 そう言うと「助かるよ」と頷く神。 なるべくシュート練習の邪魔にならない遠くの方からボールを回収し始めた。 何となく、神があまりにも軽くシュートを決めるので自分でも出来ないかとボールを放つ。 リングのずいぶん手前でそれは下降していった。掠りもしない。 背後で笑った気配がしたので振り返ると、シュート練習が終わったのか、神が微笑んでいた。 恥かしいところを見られた、とも紅くなる。 「ちゃんはまだ3Pは無理だよ。でも、練習したら届くようになるかもね」 そう言っての放ったボールを拾い上げて軽く放る。 リングの中央にストン、と入った。 「神さん、凄いですねぇ」 しみじみとが言うと 「まだまだだよ」と神が苦笑する。 どこか闘志を孕んだ瞳には一瞬息を飲む。 しかし、それは見間違いかと思うくらいの一瞬で、いつもの神の優しい瞳に戻っていた。 2人でボールを片付けてフロアにモップをかけて戸締りをする。 体育館の2階に設置されている更衣室の前で待っていると、制服に着替え終わった神が出てきた。 ドアの隙間から見えた更衣室に絶句する。 そんなの表情に気付いた神が「どうかした?」と声を掛けるとは真剣な眼差しで神を見上げ、 「今度、更衣室の大掃除をさせてください」 と切実に訴えた。 一瞬面食らった神だが、 「牧さんが良いって言ったらね?」 と答えておいた。 まあ、確かに汚いもんね... 神は少しだけ振り返って更衣室の扉を見遣った。 |
翔陽はもうちょっと待ってください。
神さんって意外と強引だと思う...
桜風
07.2.9
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