君が好きだと叫びたい 6






翔陽のIH予選の緒戦、湘北戦を見に行った。

前日に藤真から熱烈なお誘いを受けたのだ。

とはいえ、その日は海南も試合がある。ベンチ入りの部員全員で見に行くことにはなるだろうと言っておいた。

しかし、何とかして皆から離れて翔陽の応援が出来ないものかと考えていた。



試合が始まる前に会場へ着いた。

コートの中で藤真たちが練習をしている。何故か藤真はジャージを羽織ったままだ。

偶然、長谷川と目が合った。は小さく手を振ってみた。

長谷川は彼女がだと気づいたようで小さく頷き、隣の花形、目の前にいる藤真に声を掛けていた。

花形は振り返り、藤真もスタンドを見上げる。

海南の選手の中にの姿を認める。

2人はそれぞれ小さく手を挙げてに挨拶をする。

も手を振り返した。

「ん??」

コートの方を見ていたに振り返った信長が声を掛ける。

「ううん、何でもないよ」

コートから信長に視線を向けて微笑んだ。


試合が始まっても藤真はベンチにいるままだった。

理由が分からない。

勉強不足だ、と思い、帰ったら信長に理由を聞いてみようと決心した。

後半に入って湘北が逆転し、監督をしていた藤真がコートへ入る。

しかし、結局翔陽の緒戦敗退という結果に終わった。

試合終了の礼を済ませ、顔を上げる。が扉から出て行く後ろ姿が見えた。

ああ、俺が泣かしたんだ...

そう思った藤真はより一層奥歯を強く噛み締めた。

その心境を察したらしい花形が藤真の頭にタオルを掛けて手を置く。

「行こう」

藤真たちを促して控え室へと向かった。


どうしようもなく流れる涙が止まらず、は非常に困っていた。

ウロウロと人が少ないところを探す。

ゆっくり深呼吸をしていたら涙も止まった。

取り敢えず、このまま皆の元に帰るわけもいかないだろうと思い、トイレで顔を洗って戻ってみた。

「な!?どうしたんだよ、!!」

戻った途端、信長が声を上げて驚く。

他の部員たちもその声に反応して振り返る。

正直、迫力がありすぎて怖い...

「目にゴミが入って、擦ってみたけど上手く取れなくて。顔洗ったんだけど...でも、もう大丈夫」

ありがちな言い訳をしてみて様子を見る。

「ダメじゃないか。目に傷がつくよ。すぐに洗い流さないと」

納得したらしい神が注意する。

「はい、以後気をつけます」

取り敢えず誤魔化せた感じがしてほっとした。

視線を感じて見上げれば牧が少し心配そうな表情をしている。

藤真たちとのことを知っているだけに、心配なのだろう。

はもう一度「大丈夫ですよ」と声に出して微笑んだ。



試合の帰り、神が牧と並んで歩く。

「で、牧さん。ちゃんのあの本当の理由は何ですか?」

不意に聞かれて絶句する。

「...何のことだ?」

「何か知ってるんでしょ?」

「何を言ってるのか分からんぞ?」

そう言って少しだけ歩調を速める。

と藤真のことを話せば、清田兄妹の話になる。

話さないと約束した手前、神に理由を話すわけにはいかない。

「何の話っスか?」

先を歩いていた信長が戻ってきた。

益々話し辛い。

ちゃんのことだよ」

神が余計なことを言う。内心舌打ちをしながらも沈黙を守る牧。

の?!牧さん、何か知ってるんスか?」

食ってかかるように牧に迫る信長。

それでも、黙っている牧に焦れた信長の方が口を開いた。

「じゃあ、ちょっと俺の話を聞いてくれますか?牧さんと、神さんにだけは知っておいてもらいたいんです」

いつになく真剣な信長の表情に、2人も真剣に頷く。

「実は俺とは本当の兄妹じゃないんスよ」

「え!そうなの?!」

と驚く神。

「そ、そうなのか...」

どう驚いていいのか、牧も一応驚く。それは先日聞いて驚いたばかりだ。

「はい。4年前に俺の父親との母親が再婚して。それで兄妹になったんです」

「え、じゃあ。生まれつきの兄妹じゃないってこと?だから似てないんだ。顔も頭も」

「そうです。俺、に昔の話をあんまり聞いてないからそういうの全然知らなくて。もしかして、何か牧さんに話したんですか?」

話していいものかとまだ悩んでいる牧の肩を揺さぶる。

信長の目が本当に必死で、とうとう牧も先日の藤真たちとのやりとりを話した。


「じゃあ、は...」

「藤真たちと親しかったようだな」

そう言って先を歩くの背中を見遣る。

「じゃあ、目にゴミってのはやっぱり嘘だったのかな?」

神が頭の後ろで手を組み、様子を見るように牧に視線を送る。

恐らくそうなのだろうが、

「さあ、そこまでは分からんな」

と答えておいた。


試合後は一旦学校に戻り、片付けや自主練をする。

神はいつもの如くシュート500本、牧と信長もそれぞれ練習をして帰ることにした。

も片付けをしていたが、それも終わって部員たちの様子を見る。

自主練であるため、終了時間も決まっていない。

そのため、もう帰ってもいいのだろうが、そこそこ部員も残っている。

、もう帰っていいぞ」

牧にそう言われる。

「え、でも...」

「自主練だからいいよ。ちゃんも疲れてるだろう?」

神にも言われて

「じゃあ、お言葉に甘えていいですか?」

「おう。気をつけて帰れよ」

荷物を持って体育館を出ようとしたところに「」と信長が呼び止める。

「何?」

「あー、帰り。遅くなるようだったら、迎えに行くから。ちゃんと連絡しろよ」

そっぽを向いてそんなことを言う。

「分かったな!」

「う、うん。分かった」

「気をつけろよ」

そう言ってドリブルをしながらコートへ戻っていった。


神さんはさり気なく毒吐きキャラになってますね。
白い神さんの書き方を誰かご教授ください。
白い白いと唱えながら書いてても必ず何処か黒くなる...


桜風
07.2.23


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