| わたしの親友、は越野の彼女という立ち場だ。 そうなったのも、まあ自分で言うのも何だが、わたしのお陰というか... も越野もお互い気になっていたのに、何だか奥手同士で話が進展しない。 それを見かねたわたしがお互いを引き合わせたというか、とにかく紹介さえすればあとはとんとん拍子でうまくいくだろうという事で紹介したのだ。 予想通りにとんとん拍子で2人は付き合いはじめて、今では校内でも結構有名な2人になっている。 そんなわけだから、わたしのバイトのない日は何故かに付き合ってバスケ部を見学しに行っている。 ギャラリーには男子よりも圧倒的に女子が多い。 キャー!と耳を劈くような黄色い声が上がるときは、大抵仙道がボールを持ったときで、それは確かに目を奪われる事がしばしばだ。 そんな仙道ばかり見ている女の子たちの多くは仙道に恋心を抱き、そして、仙道に適当に告白されれば舞い上がって、結局仙道の気持ちが自分に向いていないと分かって必要以上に落胆するのだ。 今まで何回もそのパターンを見てきたし、だからこそ、舞い上がる女の子たちの気持ちが分からない。 それこそ、仙道のことは女子の間でも噂になっているのは確かだ。にも拘らず、仙道はモテまくる。 不思議で仕方ない現象だ。 「仙道君って、相変わらず華があるね」 「そう、なんだろうね」 『華』。 確かに、華はある。 けど、彼の場合はバスケがなくなったら唯のサイテー男と化すのだ。 「。今日はバイトないんだ?」 考え事をしていたら目の前に大男が立っていた。 言わずもがなでそれは仙道彰。 「そうだよ。じゃないと来ないって」 「オレが居るのに?」 「仙道が居ようと居まいと同じ。ていうか、早く戻りなよ。越野に怒られるよ。ついでに、わたしにとばっちりが来るから、早く戻って」 わたしがいうと仙道は大げさに溜息を吐いた。 「愛が無いな」 「あら、溢れんばかりにあるじゃない。越野に怒られそうな仙道に忠告して差し上げているのですから」 そう言って微笑むと、仙道も微笑む。 お互いきっと、『イイ笑顔』ってやつだと思う。 「というか、さ。越野って『お母さん』って感じしない?」 腰を折ってわたしの耳元で仙道がそう言う。 可笑しくて吹き出すと 「お前ら、良い度胸だな」 と仙道の背後で低い声がした。この声は越野だ。 仙道が無駄に大きいから分からなかった。 「え、今のって褒め言葉」 仙道がしれっと言うけど、越野のこめかみはさっきからピクピクと小刻みに動いている。 「何処が褒め言葉だ!」 「ほら、仙道。『お父さん』って言わないといけなかったんだよ。越野は男なんだから」 「あ、そっか」 と仙道はポン、と手を叩く。 「は、黙ってろ」 更に低い声で越野が睨んでくる。 わたしは肩を竦めてこれ以上越野を刺激しないように口を噤むという選択をした。 「ったく、お前キャプテンなんだからもう少し真面目に練習しろよ」 と仙道の練習着を引っ張りながら越野はコートに戻る。「伸びるって」と仙道が抗議をしているが、それはキッパリと無視している。 引きずられていく仙道を見送りながら 「越野って、ああいうところが男らしいよね」 ポツリと呟くと 「うん。でも、普段は凄く優しいよ」 とが惚気た。 たしかに、と一緒に居る越野はわたしの知っている越野じゃない。 「恋って不思議だね」 思わず呟いて口を手で覆う。この口から漏れた言葉が恥ずかしすぎる。 「だって恋してるんでしょ?」 まさか、がそんなことを言うなんて... 誰にも気付かれていない自信があったのに。 「何年親友やってると思ってるの?」 ふわりと微笑んだが大人びているように見えていつものじゃないようで不思議だった。 「には敵わないな」 「ありがとう」 微笑んだまま、はそう応えた。 |
桜風
09.2.25
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