| 金曜日の放課後、突然が「遊園地に行かない?」と誘ってきた。 が指定した日、つまりその次の日曜は偶々暇で時間があったということから承諾した。 時間少し前に待ち合わせ場所の入口に着くと、そこには何故か越野も居て。 「あれ?越野は何で?」 と聞けば、 「に誘われたからだよ」 と答える。 を見ればいつもどおりのおっとりとした笑顔で頷いた。 「4枚あるの」 とバッグから紙切れを取り出した。 それは紛れもなくこの遊園地のタダ券とかいうやつで、4枚きっちりある。 ん?4枚? 今現在、わたしとと越野。以上3名。 「あとひとりは?」 と聞くと 「あれ、みんな早いな」 と声がして振り返れば仙道。 反射的にわたしと越野は時計を見た。 「おい、時間ぴったりだ」 「うわ、遅刻してない。奇跡?!」 「というか、部活があるときにこんな奇跡を起こしてもらいたい」 「ダメじゃん。奇跡ってそうそう起きるものじゃないよ」 わたしと越野は珍獣を見るような気分で仙道をチラチラ見ながら言葉を交わす。 「オイオイ。いくらオレでもとのデートに遅れるわけないだろ」 とわたしが思ってもみなかったことを口にした仙道は、人の良さそうな苦笑いを浮かべて頭を掻いていた。 「は!?デート??」 「どう見てもそうだろ?さんには越野が居るし」 「わたしと。仙道と越野なんてのも有るのでは?」 「ねぇよ!」 わたしの意見は越野の一言で却下された。そんな怒んなくてもいいじゃない... 「じゃあ、はい」 とが2枚わたしにそれを渡す。 「え?」と聞き返せば越野が「じゃあなー」と手を振ってと共に入場した。 百歩譲って『ダブルデート』だとしよう。 え、これどう見てもダブルデートとやらじゃない... 「はは、越野はさんが絡むと性格が変わるな。いや、あんまり変わってないかな?」 と仙道は爽やかに感想を述べ、わたしの手にある入場券を抜き取って 「さあ、行こうか?」 そう言いながらゲートに向かった。 なんとなく、わたしは慌てて仙道の背中を追いかけた。 「ねえ、部活は?」 と聞けば、 「あの真面目な越野が此処に来ていたってのを考えたら、まあ。オレがサボリじゃないってのは分かってくれるよね?」 とほんのり厭味っぽく言いながら微笑む。 「そうですねー。いつも仙道さんはサボリ魔なのでちょっと心配してしまいました」 わたしも笑顔と共に仙道に厭味を返しておいた。 「でさ。今気がついたんだけど。これ、フリーパスだ」 そう言って仙道がチケットをヒラヒラと振る。 わたしも自分のを見て驚く。たしかに... 「じゃあ、乗りまくらないと損だね」 わたしが言うと 「だな」 と言って仙道が笑った。 その宣言どおりにわたしたちは片っ端からアトラクションを楽しんだ。 取り敢えずスピード物は全制覇したいと言うと、仙道もそれが良いと賛成してくれた。 しかし、そのアトラクションよりも、どんなにスピードの出る乗り物に乗っても崩れない仙道の髪型の方が凄いと思う。 「何つけてるの?」 「市販の。普通の」 「全然普通じゃないよ、きっと」というと、「失礼だな」と笑いながら仙道は自分の髪を触った。 仙道はボールを持ったら華があるけど、普段からそれはある。動作のひとつひとつにどこか人を惹きつけるものがあり、それがわたしにとってみればこの上なく悔しく思う。 「。ちょっとブレイクしようよ」 仙道がゆったり歩きながらそう言う。 「えー。あとひとつで此処のエリアは制覇できるんだよ」 「うん、でも休憩。あれにしよう」 そう言って指差したのはこの遊園地のシンボルの観覧車。 まあ、遊園地に来て観覧車に乗らないなんて考えられないから良しとしよう。 「じゃあ、あれから降りたらまた続きだよ」 わたし確認すると仙道は肩を竦ませて「仰せのままに」と答えて進行方向を観覧車へと変えた。 |
桜風
09.3.7
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