恋すてふ 13




神の言ったとおりに部活が休みの日が出来た。

と言っても、これも予想通り試験週間なのだが...


待ち合わせの駅前には時間前に着いてしまった。

時計を見て苦笑する。

側にある本屋で時間でも潰すかと思っていたら見慣れた少女が目に入る。

初めて見る私服姿だが、すぐに分かった。

彼女は一生懸命上の方を見上げている。

神の背の高さにあわせて視線を動かしているようだ。

神ほどの長身はそうそう居ない。だから、背の高さだけで探そうとしているようである。

ちゃん」

「はい!」

こっそり近付いて声を掛けると凄く驚いたようで眼を丸くしている。

「ごめん、そんなに驚くなんて思ってなくて...」

「い、いいえ。神先輩早いですね」

「そうかな?でもちゃんも来てたから良かったよ。時間通りに来てたらちゃん、かなり待たないといけなかったもんね」

そう言って微笑む。

「神先輩をお待たせしてはいけないって思ったので、早く家を出たんです。でも、見つからなかったらどうしようって心配で一生懸命見上げていたんですけど...見つけてもらえて良かったです」

嬉しそうに微笑むに神も自然と口元が緩む。

「じゃあ、ちょっと早いけど行こうか」

そう言ってを促す。

「はい!」と元気良く答えて映画館へと向かった。


「神先輩、知ってました?」

「え、何?」

「私、未だに子供料金で入れるんですよ」

「そ、それは...」

コメントしづらい...

「まあ、やったことないんですけどね。でも、生徒手帳を忘れても学生料金では入れます」

そう言って笑う。

「うーん。こう言ったら失礼かもしれないけど、誰も疑いそうにないよなぁ...俺は逆に生徒手帳を二度見されるけどね」

と笑う。

「大学生に見えるんですかね?」

「かもね。背が高いとこういうときに面倒くさいよ」

「大きな人も大変なんですね」

二人は笑いながら映画館の席に座った。

神が選んだのは一番後ろの席。

「遠いですよ。大丈夫ですか?」

見たいと言っていた神なのに、何故こんなスクリーンから遠い席を選ぶのだろう?

そう思ってが問うが

「うん、大丈夫。ここにしよう」

そう言って椅子に腰を下ろした。

神が良いと言うのだから、ともその隣に座る。

「何か飲む?」

「あ、買ってきます。何がいいですか?」

「え、俺行くよ」

「映画代を奢っていただいたので、これくらいさせてください」

にそう言われて神も強く出れない。

「じゃあ、ちゃんと同じもので」

「抹茶オレでもいいんですか?」

笑いながらそう言う

「う、うん...いいよ」

と神が頷く。

「嘘ですよ。ちゃんと神先輩が好きそうなの考えて買ってきます」

そう笑いながら売店へと向かって行った。


暫くして戻ってきたは大きなポップコーンとドリンク2つを器用に持って戻ってきた。

「え、どれから取ったらいい?」

絶妙なバランスで保たれている感じがしてに聞く。

「ドリンクの2つを持ってください」

言われたとおりにドリンクを持つ。がそれから手を離してポップコーンを置いた。

「神先輩、ポップコーン好きですか?」

「うん、大丈夫。でも、さっきの良く持って来れたね」

体が大きくないから手も大きくない。

「小さくても工夫すれば色々できますよ」

そう言ってはいたずらっぽく笑った。



映画が始まり、クライマックスに近づくと隣から泣いているような気配がした。

ちらりと視線だけを向けるとがハンカチを当てながらスクリーンを見つめていた。

そして、上映が終了した後も

「ごめんなさい、頑張りますから。今すぐ止めますから!」

「うん、時間は有るんだから全然気にしなくていいよ」

の涙が止まらずに当分映画館の中に滞在した。









桜風
07.5.23


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