| 休み明けにテストが終わって自主練をしに体育館へ向かう。明日もまだテストだが、日課だしいつものことだ。 その途中で、後ろから声を掛けられた。 「あらぁ、神君」 今一番会いたくない人に会ってしまった。 振り返った神はあからさまにイヤな顔をする。 「あらあら。どうしたの?ウチの妹口説いてくれた?」 「口説けませんでした」 「うわ、神君って意外とヘタレだったのね。あたしに喧嘩を売ってくるからそこそこ根性はあると思ってたんだけど」 楽しそうに神の顔を覗き込んでくる。 神は眉間に皺を寄せて顔を背けながら 「仕方ないでしょう。あれだけ好きな人の話をされたら、言いたいことも言えませんよ」 「え、。好きな人の話を神君にしたの?」 「まあ、俺から話を振ったんですけど。ちゃんの顔を見てたらその人のことが本当に好きなんだって分かっちゃったんだから、もう何も言えませんよ」 「そこが、『ヘタレ』だって言ってるんでしょう?当たって砕けて御覧なさい。その方がスッキリするよ。今の、部活の優しい先輩で居るより良いんじゃない?」 「他人事だと思って...」 憮然と呟く。 そんな神を見て楽しそうに笑う。 「他人事だもの。しっかし、彼の何処がいいのかねぇ?あたしにはさっぱりわかんないよ。まあ、彼を語ってるの顔が凄くいい表情になってるからそんなに悪くは言えないんだけど...でもさー、アイツ?って思うわけよ」 「先輩はちゃんの好きな人を知ってるんですか?」 「知ってるわよ。今はの定期入れに挟んである写真は、あたしが隣のクラスの子の弟に頼んで去年の林間学校で撮られたらしいのを買っておいてもらったものだもの」 と誇らしげに言う。 「え、じゃあ。ちゃんの好きな人ってウチにいるんですか?」 「え。、そこまでは言ってなかったの...?」 やばい、という表情でが聞き返す。 「ええ。じゃあ、ちゃんがウチを選んだもうひとつの理由がそれなんですか?」 「ごめん、もうこれ以上言うわけにはいかない」 本当に申し訳無さそうに手を合わせるを見ると、これ以上聞いてはいけないような気がした。 実際、本人の与り知らぬところで、折角秘密にしていたものを態々聞き出すわけにもいかないだろう。 「分かりました。これ以上は聞きません」 「助かる〜!でも、聞き分けのいい神君に最後のご褒美」 「要りません。いつか割に合わない請求をされそうなので」 そう素気無く答えて体育館へと向かう。 「がバスケ3年間続けれたのは、その人のお陰だって。そう言ってたわ。じゃ、練習頑張りなさいよ」 そう言っては神とは逆方向へと歩いていった。 テストが明けて久しぶりの部活動が再開される。 の顔を見るのも久しぶりで、たった数日なのに懐かしさすら感じていた。 全体練習が終わって「マネージャー、ちょっと来い」と牧に呼ばれる。 「はい」 呼ばれては牧と共に体育館を出た。 来月の全国大会でのホテルや交通手段の確認やその確保のための顧問と監督を交えての打ち合わせだろう。 部員たちもポツポツと帰っていく。 たちが戻ってきたときには殆どの部員が残っていなかった。 「何だ、皆帰ったのか?」 「トレーニングルームに行くとかって何人かそっちに行ってましたけど」 いつもの如くシューティング練習をしていた神が手を止めて牧に言う。 「そうか。じゃあ、俺もそっちに行くか。、もう帰ってもいいぞ」 「まだ仕事が残ってます」 「明日でもいいんじゃないか?」 「いえ。すっごく気になりますので。特に今の季節だと、明日に回した方が自分が苦しい思いをしそうです。ありがとうございます」 そう言っては部員たちの使用したタオルを洗濯をするべくそれらを抱えて体育館から出て行った。 |
桜風
07.5.28
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