What's love? 7





練習試合当日。

朝早く学校に行って準備をしていたは先ほどからずっと気になることがあった。

。仙道さん、まだ来はってないよな?」

「来はってないね...寝坊?」

「まっさか!今日はウチも今年度最初の試合やで?それなのに..やっぱ寝坊かな?」

彦一に声をかけられてそんな会話をしていると、先輩マネージャーに呼ばれては慌てて駆け寄った。


「何ですか?」

「そろそろ湘北さんが着くころだから、正門のところで待機してて。案内役、ヨロシク。安西監督..向こうの監督さんなんだけど、粗相のないように。ウチの監督もの凄く安西監督に気を遣ってるから気をつけて」

湘北の、お出迎え...

もの凄く気が進まない仕事を言い渡されてはトボトボと正門へと向かった。

毎年のことだから向こうも勝手を知っているとは思うものの、やはり練習試合を申し込んだこちらが足を運んでもらうのだから、ということらしい。

...ウチが申し込んだ!?

何故こちらから弱小の公立高校に練習試合を申し込むのだろうか。

考えても腑に落ちない...

首を傾げながら正門に行き、まだ湘北軍団が来ていないことを確認してそのまま首を傾げて考え続けた。

!!」

懐かしい、よく通る声が自分の名前を呼ぶ。

「先輩!」とは手を振って慌てて手を下ろした。

安西監督に粗相があってはならない。

「何よ、!何で湘北に来なかったのよ!!」

ヘッドロックを掛けられたは「ギブギブ!!」と言って解放してもらう方向に向かうべく全力で降参した。

「ったく、結局ウチなんてマネージャーはあたし一人なのよ?!」

「...すみません」

「流川もうちに来てるのに」と小声で付け足されたらもう本当に「すみません」の一言しかない。

「で、何でがここに居るの?」

「あ、湘北高校バスケ部の皆様をご案内しろといわれて。特に、マネージャーさんは着替えるのに女子更衣室を案内しなきゃならないので」

が言うと「なーに他人行儀に『マネージャーさん』なんて言ってのよ!」と彩子にしこたま背中を叩かれてむせていると「ほっほっほ」と仏のような結構まん丸とした白髪の人が笑った。

「これは、ご丁寧に」

「いえいえ」と慌てて頭を下げる。

これが、安西監督?!いや、こう見えて顧問の先生なのでは??でも、今ここに居る大人は一人しかないし...

そう思ってちらりと最も貫禄のある長身の人を見た。

学ランを着ている。

うん、高校生のはず。

「じゃあ、体育館へ。彩子先輩は、更衣室にご案内しますね」

『マネージャーさん』なんて言うとまた背中を叩かれかねないのでは諦めて彩子を名前で呼んだ。

それを聞いて彩子も満足そうに笑った。

右手はの背中を叩く準備万端だったが、それはそっとおろされる。

「おい」

歩き出そうとしたら声を掛けれてはちらりとその声の主を見上げて軽く会釈をするだけに留まった。


体育館へと案内をする。

湘北バスケ部は元気よく声を出していた。

「彩子先輩、先に着替えますよね」

「うん。場所、知ってるけどヨロシク」

そう言ってウィンクした彩子に「はい」と返事をして体育館から少し離れた部室棟へと向かった。

そういえば、さっきもやはり仙道の姿はなかったな...

仙道が欠場の場合は、やっぱり賭けは無効だよな...

そんなことを思っているとガシッと肩をつかまれる。

「あたしの記憶では、女子更衣室ってここだと思うんだけど?」

そう言って足を止めているその目の前のドアが間違いなく女子更衣室への入り口だ。

「あ、そうでした」とは肩を竦めた。

「で、どうなの?」

衣擦れの音がする中、彩子が声をかけてきた。

「どう、とは?」

「ほら、部員があれだけ居るのにマネージャー3人って。しかも、確か以外のマネージャーって3年だからたぶんIHで引退でしょ?」

「まあ...来年新入生をだまくらかしてマネージャーとして入部してもらうしかないですよ」

若しくは、転校生を狙う。

と、言っても高校で転校生ってまず少ない。当てにするだけ無駄だ。

「流川に推薦の話が来てたから、ここにしたの?って、家から近いから湘北にでもしようかなーとか昔言ってたでしょ?」

不意に話を変えて彩子が聞いた。

「...そう、ですね。そう..なんでしょね」

「何ぼやかしてんのよ。あたしに隠し事!?」

「隠し事とかじゃなくて...なんでかわたしにも微妙に分からないんですよ」

「...って流川のこと、好きなんじゃなかったの?」

呆然とした表情で彩子が言う。

そんな指摘をされたは「へ!?」と声を上げる。

「そ..そんなことないですよ?!」

何でそんな脈絡のないことを言うのだろう。

「そうなの?あたしはてっきり...流川もきっとそうなんだろうし」

「はぁ!?先輩、それはナイナイ。ありえませんよ」

「そう?あたし結構そういう勘は当たるんだけど...」と呟きながら着替え終わった彩子はを促して更衣室を後にする。

彩子本人は爆弾発言をしただなんてこれっぽっちも思っていないだろうが、はかなり混乱させられていた。

頭の中では「ありえない」が渦巻いていた。









桜風
10.3.31


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