What's love? 11





IHの予選が始まった。

陵南高校はシードであるため、試合はまだないが、初戦から見学に向かう。

授業があるので、とりあえず初戦はスタメンのみが試合会場へと足を運んだ。


「どうでした?」

放課後の練習時間、珍しくから仙道に声を掛ける。

「ん?」

「初戦」

「湘北の?」

「...?湘北を見に行かれたんですか?」

どこの試合を見に行ったのかは知らなかったらしい。は首を傾げながら聞き返す。

あまりにも自分が過敏に反応しているな、と仙道は苦笑した。

「まあ、そうだな。今日は湘北を見に行った。前の練習試合のこともあるから、マークしていても損はないと思うし。実際、損はなかったよ」

そういって今日見た試合のことを話す。

「そんな凄い選手が居て、何で前の練習試合に出してこなかったんですかね?」

不思議そうにが首を傾げた。

まあ、何らかの理由があったに違いはないが...

そう思いながらも「何でだろうねぇ」と仙道も首を傾げて見せた。

からかわれたのだと思ったは少し拗ねたようで「仙道さん!」と窘めるように名を呼ぶ。

「ははは」と笑った仙道はふと何かを思いついたようにぽん、と手を叩く。

「ねえ、ちゃん」

「何ですか?」

少し警戒心を見せては返事をする。

「次の試合」

予選の話だ。

は頷いた。

「一緒に行こうよ」

「は?」

「たしか、マネージャーも公欠取れるんでしょ?今日、3年のマネージャーは一緒に来てたし」

それは、3年だから。

マネージャーが複数人いる場合、全員が公欠というのはあまりしない。

もちろん、規則等でできないわけではない。

しかし、学生の本分は飽くまでも学業というのがあるためなかなか難しいのだ。

選手ならともかく、裏方のマネージャーまで試合を見に行く必要はないのではないか、ということなのかもしれないが...

「先輩たちに相談してみます」

「ヨロシク」

断られると思っていたのに、意外と前向きに検討してもらえた。



「どこのブロックのを見に行くんですか?」

結局、先輩に相談し、担任と顧問の許可が下りたため、公欠を取って試合を見に行くことにした。


高校バスケの試合を見るのは実は初めてだ。

もちろん、先日の練習試合が初めてだが、やはり公式戦と練習試合の差はあるだろう。

「やっぱ、ウチと同じブロックかな?湘北は越野が見に行ってるし。魚住さんも後から行くとか言ってたし」

なんだかんだであの試合以来陵南バスケ部は湘北に注目しているようだ。

試合会場に着くと、本日の1試合目は既に後半だった。

目の前で展開する試合はやはり迫力がある。

目を丸くしているに仙道は苦笑した。

「この間、練習試合で見たでしょ?」

はふるふると頭を振った。

「あの試合は正直、いろいろとばたばたしてたので、じっくりと見れなかったんですよ。でも、やっぱり体が大きい人が多いから迫力は中学のときよりもありますね」

じっとコートを見つめながらが呟く。

「ウチのブロックで注目の学校は、どこですか?」

もちろん、陵南を除いて、だ。

仙道はの質問に丁寧に答える。

もその答えに相槌を打ったりと真剣に聞いていた。

「珍しいな、お前が」

不意に面白がっているような声が上の方から聞こえて振り返る。

「藤真さん」

仙道の呟きには思わず「え!?」と声を上げた。

「ちょ、仙道さん。藤真さんって、翔陽の?!」

「ああ、ちゃんも知ってるのか。やっぱり有名人だね」

仙道の答えは『肯定』だ。

「こ、こんにちは」

カチンコチンに緊張したが挨拶をする。

藤真は苦笑して「こんにちは」と返した。

「マネージャーか?」と仙道に声を掛ける。

「ええ。今年入ってくれた子ですよ」

仙道の返事を聞いて改めてに視線を向けた。

はあわててぺこりと頭を下げる。

「マネージャーは大切にしろよ」

藤真の言葉に「言われなくても」と仙道が返す。

「そういえば。湘北が居るのは、翔陽のブロックでしたよね」

仙道が言うと「そうだな」と藤真が頷く。

「見に行かなくていいんですか?今年の湘北はかなり良いと思いますよ」

「そうらしいな。まあ、花形が見に行くとか言っていたし、どうせなら4日目の試合を見に行った方が良いだろう」

確かに、と仙道は頷いた。

せっかく見に行っても負けてしまうことがあるし。その4日目の試合での勝利チームと試合をするのだから。

「じゃあな、邪魔して悪かったな」といって藤真が去っていった。

仙道は苦笑して頭を下げて見送った。

「はぁ...オーラのある人でしたね」

が呆然と呟いた。

「あれ?俺は??」

藤真に対してがそんなことを言うものだから仙道も思わず対抗心を燃やしてしまう。

「仙道さんは、試合中限定でしょ?」

が答えると「参ったなぁ」と呟く。

試合中はオーラがあると言うではないか。

「ねえ、ちゃん」

「はい?」

コートから視線を外さずには仙道の言葉に耳を傾ける。

「何で、今日一緒に試合を見に来てくれたの?」

「は?!」

その言葉にさすがのも眉間にしわを寄せて仙道を見上げる。

「仙道さんが誘ったんじゃないですか!」

怒られた。

「まあ、そうだけど。ほら、ちゃんって俺のこと嫌い..じゃなくて胡散臭いとかある意味酷いこと思ってるんでしょ?前に言ってた」

まあ、言った。今でも胡散臭さは変わらない。

が否定をせずに頷いたことにちょっと肩を落としつつ、話を続ける。

「何で?」

「胡散臭いことは否定しませんけど。でも、仙道さんってバスケにだけは真摯でしょ?ちゃんと真剣になれるものを持っている人なのは知ってますしね。今日のはバスケの試合を見に行くって話でしょ?信用したって良いじゃないですか」

まっすぐの言葉でそういわれた。

「...ちゃんって、意外と危険な天然かな?」

「は?!」

聞き返すに「なんでもない」と返して仙道は立ち上がる。

「ちょっとドリンク買って来る」

「あ。じゃあ、わたしが行きますよ」

がそう言ったが、仙道は断って席を外した。

遠ざかる仙道の背中を見上げながらは首を傾げる。

変なの...









桜風
10.4.28


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