| 決勝リーグをかけての試合は、陵南も難なく勝利することが出来た。 ほっと胸をなでおろすの肩を誰かがぽんと叩く。 「次は決勝だ」 仙道だった。 「はい!」 決勝リーグに進出したのは、陵南、湘北、海南、武里の4校だ。 ここからはリーグ戦ということもあり、全校と試合を行う。 陵南の最初の対戦相手は武里だ。 「しょっぱなから...」 は思わず呟く。 「武里も..まぁ、強いけど」 「...仙道さんはなんでわたしの背後に立つんですかね」 溜息混じりにが言う。 「スキだらけだから..かな?」 の視線の先にはニコニコと笑っている仙道がいた。 「で?しょっぱなからってのは湘北?」 「...そうです」 「まあ、いずれ当たらないといけない相手なんだから。遅かれ早かれってやつだよ。俺たちだって当たるんだし」 何でもないことのように肩を竦めて言う仙道には感心する。 ああ、だからこの人がエースなのかな、と。 「ねえ、仙道さん」 「ん?なに??」 「『常勝』の海南を破ったらどんな気分なんですかね?」 少し挑発するようにが言う。 仙道は笑って「今度分かるよ、きっと」といった。 初戦の武里には100点ゲームだった。 試合の途中には魚住、仙道を下げるという余裕を見せての勝利だ。 試合終了後、別会場で試合をしている湘北海南戦を見に行くこととなった。 相手の情報を収集するのは大切なことだ、 何より、湘北はあの翔陽を倒したチームで、どこで波乱が起こるかわからない。 「ちゃん」と仙道に声を掛けられたが、「ごめんなさい」とは断った。 今日の試合で使ったタオルなどの片づけというマネージャーの大切な仕事があるのだ。 「そっか」と仙道は納得して歩き出したが、「は行きな」と先輩に言われた。 「え?」 「アンタ、1年。あたしら3年。はあと2年間マネージャーするんでしょ。それに、情報収集だってマネージャーの大切な仕事だよ?まあ、早く帰りたいって言う本音もある」 先輩はそう言ってウィンクをした。 は少し悩んだが、「行ってきます!」と言って荷物を持って駆け出す。 バスに乗ろうとしていた大きな集団を見つけて慌てた。 このバスを逃すと次はいつだったんだっけ?? そんなことを思いながら走っているとバスが出ていかない。 「すみません!」 息を切らせて開いているドアからバスに乗り込むとバスのドアが閉まって出発した。 「どうしたの?」と仙道は言いながらのバッグを持って椅子に座らせた。 しばらく呼吸を整えていたはようやく口を開いた。 「先輩たちが、情報収集もマネージャーの仕事だから行って来なさい、って」 「そっか」と納得した様子の仙道だったが、不意に腰を屈めて顔を近づけた。 驚いたは体を引いたが 「センパイたち、早く帰りたいだけでしょ?」 と構わず仙道がいい、はとっさに周囲を見渡した。 監督、キャプテンそこそこ近くにいる。 と、いうことは先輩たちのことを気遣ったのか... 納得したはこくりと頷いた。 「だろうと思った」 くすくすと笑って仙道は屈めていた腰を伸ばした。 急に遠ざかった仙道の顔との距離に、 やっぱ背が高いんだ... となんだかあさっての方向な感想がの胸に浮かぶ。 そしてハタと気が付いた。 「仙道さん、座ってください!」 慌ててが立ち上がると仙道は目を丸くした。 「いいよ、ちゃん座ってなよ。俺、体力なら自信あるから」 「けど、さっきまで試合で走りっぱなしだったじゃないですか」 そう言ってが強引に座るように勧めるから仙道は苦笑してが座っていた席に腰を下ろした。 「じゃあ、ちゃん。疲れたらここに座っていいよ」 と自分の足の上をポンポンと叩いた。 はしばらく沈黙した後、重々しく口を開く。 「それは、セクハラです」 の言葉に仙道は笑った。 |
桜風
10.5.26
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