Lovesick 1





夏の盛りが過ぎ、そろそろ夏休みが終わる頃、は職員室に呼ばれて向かった。

「失礼します」

「おお、悪いな」と言うのは顧問の田岡だ。

「何でしょう」

「実はな...」

そう言って話し始めた内容には目を丸くした。

「それはまた..豪華な」

「そうだろう。あの高頭が監督と言うのは気に入らんがな」

苦々しくそう言う。

田岡が以前言っていたが、田岡と高頭は今の仙道・流川の関係らしい。

両者の知り合いであるは何ともかんともコメントしづらい話である。

「それで、わたしが何故呼ばれたのでしょうか」

合宿があると言うのだ。

今度国体に出場する選手は、各校から選抜にして、そのための合宿。

うちの学校からは仙道と福田が選ばれた、と。

それはいい。凄いことだと思うし、頑張ってもらいたい。

では、何故自分が此処に呼び出されたのか。

魚住引退後、仙道がキャプテンで、部をまとめているのは越野だ。

仙道がいなくなってもそこまで困らないと思う。

「マネージャーにも手伝ってもらいたいと言う話になったんだ」

「...どういうことですか?」

合宿に帯同してもらいたいという話になっているとのこと。

選手には練習に専念してもらいたいから、と言われた。

「わたしだけ..ではないですよね?」

一応、確認させてもらいたい。だって、結構な人数だろう?

「ああ、選抜選手の学校のマネージャーには全員声をかけている。ただ、断られたらそれまでではあるんだがな」

そう言って「頼めるか」と田岡が言う。

他の選手の名前は聞いている。

その中に流川の名前があった。つまり、湘北のマネージャーもやってくる。

彼女がこういうのを断るとは思えない。

久しぶりに一緒にマネージャーが出来るかもしれない。

彼女から学べるならこちらとしても有意義だ。

「分かりました」とが言うと「そうか」とほっとしたように田岡が息を吐く。

「また詳細については今度話をするからな」

そういわれ、は解放された。



「ねえ、今日はなんで監督に呼ばれたの?」

部活前の呼び出しだったので仙道にもバレているらしい。

そういえば、選手には既に選抜の話が来ているのだろうか。

「仙道さんは、国体...」

しかし、自分からそういう話をして良いのだろうか。

そう思って言葉を途中で止めたが「ああ、うん。何か選ばれちゃったみたいだね」と返されてほっとした。

余計なことを言ったわけではないみたいだ。

「合宿があるのは?」

「知ってる。結構楽しみなんだ。あれ?オレがいなくて寂しい?」

首を傾げて悪戯っぽく笑いながら仙道が言う。

「いいえ。全く」

の答えに多少のダメージを抱えながら仙道は「そっか」と笑う。

そして、「わたしも参加ですし」というの言葉に目を丸くした。

ぽかーんと口をあけたままの仙道には苦笑する。

「部活前の呼び出しはこのオファーだったんですよ」

「...どういうこと?」

「まだ詳細は...ただ、合宿のお手伝いみたいです。流川も選ばれたみたいなので、たぶん、湘北のマネージャーも参加されるでしょうし」

『流川』という単語にムッとしたが、『湘北のマネージャー』でドキッとした。

怒られた。

怒られたけど、流川の居場所を教えてもらった。

「どうかしましたか?」

覗うように見上げてくるの視線から逃げるように仙道は顔をそらせた。

「何でもないよ。他に誰が選ばれてるんだろうね」

「知らされていないんですか?」

「うーん、まだね」

「たしか、海南からは牧さんと、神さんと...」

そう言いながら指折り数えていく。

「引退した人には声をかけないそうですよ。だから、魚住さんにも声がかかっていないし、湘北の赤木さんも」

おそらく、田岡は仙道にも説明をしている。だが、聞いていないだけなのだろう。

「楽しみですね!」

「ん?うーん、まあね」

ちょっと反応の悪い仙道には首を傾げた。









桜風
11.2.2


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