| 合宿の日程が入ってきて準備を整え、合宿初日、緊張しつつも集合場所へと向かった。 流川と共に現れた陵南のマネージャーに事情を知らない周囲は少なからず驚いた様子を見せた。 「おはよう、ちゃん」 めげずに声を掛ける仙道。 「おはようございます」と挨拶している彼女に「!」と声がかかる。 めげない仙道に多少感心しつつもそれを邪魔するかのように彩子が声をかけてくる。 「彩子先輩!」 も仙道を軽くスルーして彩子に駆け寄った。 一瞬にして察した周囲の数名を代表して藤真が仙道の肩をポンと叩いて流川を見上げた。 流川が薄っすらと笑っているように見えたのは気のせいだろうか... 「流川は、陵南のマネージャーと知り合いなのか?」 コクリと頷く流川。 どういう知り合いなのだろうか。 流川に聞いても良いけど、それよりも... 「おはよう、さん」 声を掛けられて振り返ったは固まった。 藤真だ。藤真に声を掛けられている。 「おはようございます、藤真さん」 「流川と知り合いなの?」 「ああ、幼馴染です」 あっさりと返されて「なぁんだ」と呟いた。 もうちょっと面白い展開になるかな、と思ったのだが... 「これはこれで楽しいんじゃないですか?」 ポツリと呟いた声が聞こえた。 振り返ってみると、神。 かもなー... 自分のチームのキャプテンがよからぬことを考えているらしい。それを察した花形は深く息をついた。 「彩子先輩、何か緊張してしまいます」 「何言ってんのよ。みんな高校生じゃない。同じ、同じ」 堂々としている彩子を益々尊敬してしまう。 合宿所まではバスでの移動で、は迷わず彩子の隣に座った。 マネージャーは結局この2人だった。 翔陽はマネージャーがいないとか。 マネージャーの仕事は1年がやっているけど、マネージャーではないし。だから、一応高頭に相談したら既に陵南と湘北のマネージャーが参加してくれるから大丈夫だといわれた。 同じく、マネージャーがいない海南も結局この2人を頼りにすることにしたのだから、翔陽も同じで良いと考えたのだ。 人数もそこまで多くないし。 しかし、少し責任を感じつつ高頭がたちを見た。 本人達は全く気にしていないようだ。その様子にほっと安堵の息を吐いた。 合宿が始まって、2人でも充分だったというのを改めて感じた。 彩子の判断の速さは勿論、指示された2つ3つ先まで準備しているの仕事ぶりで指導のために合宿に入った各校の監督は勿論、選手達も練習に集中できる。 「さすが、ね」 「彩子先輩こそ、さすがですよ。勉強になります」 夕食時にそんな話をしながら明日の予定を確認していると目の前にトレイが置かれた。 顔を上げると、仙道だ。 めげない。本当にめげない... 彩子は感心していた。 「2人とも息がぴったりだね」 「まあ、一応彩子先輩はわたしの師匠ですし」 「『一応』って何よ」 からかうように彩子が言うと「すみません!師匠!!」とが敬礼をむける。 「いやぁ、女子がいると華があって良いよなー」 別の声が増えた。 藤真だ。仙道の隣に腰を降ろす。 「というか、さんは何で俺の顔を見ると緊張するの?」 初対面でもないのに、と藤真が零す。 「い、いえ...」 「藤真さんの目がいやらしいんじゃないんですか」 彩子の言葉に藤真は面白そうに目を丸くし、は蒼くなる。 「あ、彩子先輩?!あの、違いますよ!!」 「そうかー...俺はいやらしか...」 からかいモードだ。 「違います!あの、藤真さんってオーラが...」 「は?!」 藤真の目が丸くなった。先ほどのものとは別の意味で。 「ちょっと近寄り難いっていうか...」 「オーラってんだったら..仙道だってありそうだろう。な?」 「試合中限定で、なら。はい...」 ぐさりと何かが胸に刺さって仙道はむせた。 「仙道さん?!」 は慌てて立ち上がり、仙道の背を擦る。 「どういうこと?」と藤真が彩子に視線を向けた。「面白いでしょう?」と彩子が返す。 確かに、中々見れそうにない。 「人の恋路って何でこんなに楽しいんだろうなー...」 ポツリと呟いた藤真に「藤真さん?!」と仙道が頓狂な声を上げ、「恋路?誰の??」と真顔でが呟いている。 こりゃ、前途多難だなぁ... 頬杖をつき、仙道とから顔が見えないようにしてニヤニヤと笑いながら藤真が心の中で呟く。 本当に面白い... |
桜風
11.2.23
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