| 「ねえ、仙道と何かあった?」 「な..なんで彩子先輩まで?!」 の反応を見て彩子は深い溜息を吐く。 「あのね。って自分が思ってるよりもずぅーーーーっと素直なのよ?」 ずいと顔を近づけて彩子が言う。 「え?!ええ...?!」 「吐いちゃいなさい」 彩子のその一言に逆らうことが出来なかったは昨晩の出来事をしどろもどろに口にした。 ...バカだ。 聞き終わった彩子の感想はそれだった。 だって、どう考えても..バカだろう。 いや、もしかしたらに嫌われてみたい、若しくは避けられてみたいという歪んだ願望で... そう思ってチラッと仙道を見ると心配そうにこちらを見ていた。 自分を避けるのあからさまな態度に戸惑いを見せているようでもある。 「だよねー」 そりゃそうだ。 だから、やっぱり仙道はバカだ。 「で、はどうなの?」 「へ?」 「『へ?』じゃないでしょ。仙道にキスされて、どう思ったの?」 「あれは事故だと思います」 焦点の合わない目で彼女が言う。 現実逃避か... というか、これって仙道が一歩リード? いやいや、流川は今までずっと一緒にいたのだから今回の仙道以上のようなことを..してるはずないか。 じゃあ、やっぱり仙道が一歩リードか。 がこの後どういう態度を取るかはさておき、自分の意思を見せているのだ。 「ってさ、好きな人とかいるの?」 「好きな人..ですか。さあ?」 「クラスメイトとか」 彩子の言葉に首を傾げる。 「じゃあ、どんな人が好み?」 やっぱり首を傾げる。 「恋愛に夢を持たないのねー...花も恥らう女子高生なのに、嘆かわしい...!」 彩子の言葉にはムッとしたのか「じゃあ、彩子先輩は?」と返した。 「私は、そうね...頼りがいがあって。真面目な人..かな?」 そうか、理想と言うものは誰にでもあるのか... 中学時代はクラスの女子から散々「流川くんは理想の彼氏」だと聞かされ、「無愛想だけど、そんなもんかなー」と思って過ごした。 今は同じくクラスの女子から「仙道さんって素敵よねー」と聞かされ、「遅刻魔で、一緒に居る女の人が頻繁に変わってるけどねー」と思っているのだ。 まあ、好みなんて人それぞれだし。 昼食時の休憩に入った。 食事を終えて少しの間自由時間となる。 「ちゃん」と仙道が声を掛ける。 が、「あ..楓!」とあからさまに避けられた。 選りにも選って流川... 事情が分かっている者達にすれば段々仙道が気の毒になってくる。 「あ、あの。?」 見かねた彩子が仙道に向けての助け舟を出そうとしたが「ちょっと来い」と流川がそれを制した形でを連れて行った。 彩子が助け舟を出そうとしていたのは分かっていただろう。 「これは、状況を楽しんだもの勝ちのような気がして来ましたよ」と神がこっそり藤真に言うが「俺は随分と乗りかかっちゃったんだよ。お前のお陰で」と少し嫌味を込めて彼は返す。 またしてもこの世の終わりといわんばかりの仙道の背中を見て溜息を吐き、彼に向かって足を進めた。 「で、仙道と何があった。何されたんだよ」 食堂から出て建物の陰に入って流川が言う。 「な..なんで『された』が前提の話になってんの?!」 「のその態度見りゃ誰だってそう思う。特に俺の場合何年の付き合いだと思ってんだ、どあほう」 俯いたを辛抱強く見守った。 流川としてはかなり辛抱強く。 「何か言え」 「か、楓は..好きな人とかいる?」 「...は?」 突拍子もない質問に、流川は間抜け声で答える。 「いいから!答えて!!」 上目遣いで拗ねたように言われた。 色んな衝動にグッと堪えて「いる」と小さく答える。 「ほんとに?そ..そっか」 明らかに動揺している目の前の幼馴染。 流川は思わず彼女に向かって手を伸ばした。しかしその手は途中で止めて、少し葛藤した後に降ろした。 流川と仙道の違いは付き合いの長さだ。 流川は付き合いが長いので、の時折見せる可愛らしい表情に動揺することがあっても、耐えることができるが、仙道はそれが出来なかった。 ただ、それだけの違いだ。 「じゃあ、さ。女の子にキスするのって、どういうとき?」 「されたのか?」 「いや、あ..事故」 泣きそうな表情で言われてさすがの流川も動揺した。 俯いたに「」と名を呼ぶ。 見上げた彼女の目の前に流川の顔があった。 ビックリしてギュッと目を瞑るとおでこに痛みが走る。 「痛い〜...」 おでこを擦るに「隙だらけのが悪い」と口角を上げた流川が言う。 「嫌いなやつには絶対にしねぇ」 そう言って流川が背を向けて去っていく。 最後の一言は自分の質問に対しての答えだと気が付き「そうなんだ...」とは小さく呟いた。 |
桜風
11.3.30
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