| 「なあ、藤真。今日時間が有るか?」 部活が終わって花形が藤真に声を掛けた。 「んー?別にいいけど」 少し間延びした感じに藤真が返事をした。 藤真と花形は少し残って練習をしたあと、学校を出た。 マックに寄って、隅の席に座った。 体が大きい花形は隅に座っても存在感がありすぎる。 「相変わらず目立つなー」 藤真が苦笑いを浮かべる。 「まあ、仕方ないだろ」 花形も苦笑を漏らした。 「で?話って?」 今回、話を聞いてほしいというコトで花形が此処の代金を持った。 それだけは働くつもりで藤真がそう言う。 「あのさ、なんだけど」 「ああ、大丈夫じゃないのか?フラついてなかったし、はっきりしゃべってたし」 数時間前、花形はの後頭部にバスケットボールを見事にヒットさせたのだ。 あたった場所が場所であるため、心配もしたが、受け答えもしっかりしていたし、まっすぐ歩いていた。 せいぜいコブが出来るくらいだと藤真は見当をつけていた。 「や、今日のことじゃなくて」 花形の言葉は予想外で、藤真は少し眉を上げる。 「じゃあ、何だよ?」 ズズッとシェイクをすする。 「や。えー...」 本当は1週間前の話を聞いてもらいたいと思ったのだが、今となっては気のせいに思えてならないことも否定できない。 「ほら、早く話せ。お前、奢り損になるぞ」 そう促されて、 「1週間前に、に告白された。...と思う」 と一言そういった。 「何!?マジで!?へー、あのが、とうと...あれ?お前、今『と思う』とか言ったか?」 先ほどの花形の言葉に引っかかりを覚えた藤真が聞き返す。 「言った」 花形ははっきりと頷く。 「は?何で?何で『と思う』がつくんだ??」 「いや、あのとき咄嗟のことで何も返せなかったんだけど。その後のって全然変わらないから、聞き間違いかなって思って」 自分のポテトの袋に先ほどから向かいの席の左手が伸びてきている。それを眺めながら答えた。 「ふーん...」 気が乗らないように藤真は相槌を打った。 「気のせいだと思うか?」 花形が聞くと 「つーか。お前はどうしたいんだよ?とは、このままがいいなら放っとけばいいだろうし、気になるんだったら好きだって言ってやればいい。嫌いだったらそう言えばいいだろう?」 「でもな」 と言って花形が頷かないことに深い溜息を吐いて 「じゃあ、何で『と思う』がつくんだ。どういう風に言われたんだよ??」 「教室移動のときに、一緒に歩いてると世間話のように俺のことが好きだって言ったんだ。そのあと、俺が答えるのを待たずには前日のテレビの話を始めたから何の反応も示せずに今日に至る」 花形の話を聞いて藤真は深い溜息を吐き 「あの、バカ...」 と額に手を当てて花形に聞こえない大きさで呟いた。 「じゃあさ。そのとき、お前の答えは決まってたのか?」 「いや。正直何と言っていいか。嫌いじゃないけど、そんなの微塵も感じなかったからそういう風に見たことないし。言葉が見つからないな」 本当に困った顔をして花形がそう言う。 藤真もこれ以上何も言えずに口を噤んだ。 お互い、黙々と目の前のハンバーガーを食べ終わったところで 「じゃあ、さ。なかったことにしとけば?」 と不意に藤真が声を出す。 「なかったこと?」 「そう。だって、お前お気持ちも定まってないんだろう?だったら花形から動けるはずないじゃん。もし、が気になったりしてたらまた言うんじゃないか?」 「それで、良いと思うか?」 「だってさ。もうどうしようもないだろう。動けないんだろう?じゃあ、花形は改めてに聞くのか?『俺に告白した?』って。で、アイツが頷いたら、『じゃあ、ちょっと考えるから返事は待ってくれ』って言うのか?言えないだろう?いくら俺が優秀なポイントガードでも、これ以上は何もアドバイスできねぇよ」 ちょっとキレ気味にそう言った。 ポイントガードってのは今この話では関係ないのでは...? 花形はそう思ったが、賢明にも口には出さなかった。 店を出たところで、 「今日は悪かったな。聞いてもらえてちょっとすっきりしたよ」 と花形が礼を言う。 「や。全然役に立てなくて悪かったと思う」 藤真は俯いてボソボソと言った。 「あ、一応分かってると思うけど。には」 「には言うな、だろう?なかったことにするなら言う必要がないだろう?」 藤真の言葉に花形は安心したように頷いた。 |
桜風
08.9.17
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