| 海南大附属高校男子バスケット部。 神奈川で『常勝』を掲げており、勿論、全国大会にも常連だ。 そんな超強豪バスケ部のマネージャーであるがド素人であることは、殆どの人が知らない。 学校の生徒や教師は勿論、部員まで。 知っているのはただひとり。 彼女の幼馴染で、やっぱり海南大附属高校バスケ部に所属している神宗一郎だけだった。 今日も今日とて彼女は走っていた。 部員が多い年度の前半は特に忙しい。 年度後半にもなれば部員への篩いかけも終わり、新入部員の人数は当初の4分の1以下となっている。 マネージャーになりたての昨年は体力の限界を何度も感じたが、1年間頑張ったので今年は少し楽になったような気がする。 「やらなきゃいけないことがわかるとそれだけでペース配分が出来るもんな」と幼馴染に言われてなるほど、と彼女は頷いた。 どの道、全力で頑張らないと追いつきそうに無いのだ。 それだけこの学校のバスケ部のマネージャーと言うのは重労働である。 しかし、ド素人の彼女がこの学校のこの部活のマネージャーになぜなろうとしたか。 「おーい、手が止まってるぞ」 声を掛けられては顔を上げる。 色々と事情を知っている神だ。 「寝不足?」 彼の問いに返事代わりの溜息を零した。 「今年も部員多いよね」 「分かってたことだろう?マネージャーは?希望者居ただろう」 「1日で『ムリです!』って逃げられた...」 しょんぼりして言う。 「まあ、ほどの執念を持ってないと出来ないんだよ、きっと」 苦笑して言う神に「執念とは失礼な!」とが返す。 は、元々そこまで出来のよろしい頭を持っていたわけでもない。 だが、猛勉強をしてこの学校に入り、果てはそこいらの運動部よりきついと言われる男子バスケット部のマネージャーにまでなったのだ。 「それを執念といわずに何ていうんだよ」 「淡い恋心」 「...淡いなんてもんじゃなく、物凄く『ドギツイ』と思う、それ」 神の言葉には膨れる。 がこの学校に入ったのはひとつ上の学年の生徒に憧れを抱いたからだ。 牧紳一。 今やこの神奈川ナンバーワンプレイヤーと称されている彼のプレイに魅せられ、担任は勿論、両親や近所のおばさんが止めるのも聞かず海南大附属高校を受験し、見事合格を掴んだ。 その後も大変だろうに、彼女はこの学校に通うことを決めた。 そして、幼馴染の神宗一郎がこの学校に通うと言うのを聞いて、彼女の両親は彼によーく「お願い」をしているので、お願いされている神も彼女を放っては置けない。 元々手のかかる幼馴染で構い慣れているとはいえ、今回に限っては、実は自信ない。 部活をして、片付けをして家に帰って宿題をして翌日の授業の予習をする。 寝不足になるには充分である。 しかし、それでもよろしくない頭をこれ以上に無いくらい働かせてもぎ取った海南大附属高校の学校生活。 何度も心が折れそうになったが、その度にあのプレイが頭の中で再生された。 偶然見に行った高校の試合。 そこで見た彼のプレイに釘付けになった。 一緒に見に行った神に興奮気味に彼女は話した。 「見てたから知ってるよ」と何度も言われたが、彼女は何度も話した。 バスケのルールとか、何の試合だったとか知らなかったのに、一生懸命神に感動を伝えようと言葉を紡いだ。 そして高らかに宣言をしたのだ。 「わたし、海南大附属校校に入る!!」 その宣言には神もおもわずあんぐりと口を開けて暫く閉じることを忘れたほどに驚いたと言う。 「倒れるのだけは勘弁してくれよ」 休憩時間が終わるため、神はから離れていく。 「大丈夫、根性だけはあるはずだから」 グッと両拳を握って神の背中に声を掛けるに「そうでした」と神は笑った。 |
桜風
11.4.20
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