| 「先輩は何でウチのマネージャーをしてるんですか?」 全体練習が終わり、片づけをしていると真顔で清田に聞かれて言葉に詰まった。 それは、何か。マネージャーに向いていないという遠まわしの批判か...? そう思ったにこりと微笑み、「えいっ!」と清田をヘッドロックした。 「え?!ちょ、先輩?!」 しかも全然痛くない。寧ろ顔に男の夢と希望が詰まったそこが当たって色々と複雑だ。 「、何をやってるんだ」 溜息混じりに声を掛けてきたのは牧だった。 「いえ、何でもありません」 ニコリと微笑んで清田を解放する。 「牧さーん」と清田が怯えて彼の後ろに逃げ込んだ。 「何だってヘッドロックなんか...清田、に何を言ったんだ?」 「先輩は何でウチのマネージャーをしてるんですかって聞いたら...」 上目遣いに牧を見上げる清田。 「?」 「いえ、遠まわしにマネージャーに向いてないぜって言われたのかと...」 「そんなこと言ってないっス!!」 すぐさま清田が否定する。 「。あのな、お前はちゃんとウチのマネージャーだ。頑張ってくれているのは知ってるし、感謝してる。何で突然ネガティブになる」 呆れたように牧が言う。 は牧の言葉に目を輝かせた。 「本当ですか?!」 「は?」 何のことだ?? 「わたし、ちゃんとマネージャー出来てますか?!」 「え?あ、ああ...充分だろう。遅い時間まできちんと片付けていくし、休みの日にも練習が多いからそもそもにマネージャーをしたがらない人が多い中、一人で全部こなしている。 俺達選手がプレイに集中できるのはのお陰だ」 天にも昇る、とはこのことだ。 今、浮かれすぎて地面から浮いてないかな... そう思って思わず足元を見た。 ちゃんと地に足が着いている。大丈夫! 「ぶっ」と誰かが噴出した。 ああ、神か。 はその人物が誰かが分かったが、特に咎める気はない。だって、今物凄く嬉しいから心が広いのだ。 「それで、は何でウチのマネージャーなんてやってるんだ?」 牧が問う。 貴方がいるからです、なんて言えるはずもなくは 「秘密です」 と人差し指を口に当ててウィンクをした。 「そ..そうか」 牧はそう言ってその場を足早に去っていった。 「あ、あれ?牧さーん。置いてかないでください!!」 清田が彼の後を追って走っていく。 「ま、ホントのことは言えないよな」 神が呟く。 「そうね。ルールもイマイチまだ理解してないなんて言えないわ...」 「え、まだ理解できてないの?!」 目を丸くして神が言う。 「難しすぎると思うの...」 溜息混じりに言うに「そうかなぁ」と神が零す。 「神みたいに大変お出来になる頭をしていたら一晩で楽々スイスイと理解できたかもしれないけどね。学校の授業にもついていかなきゃいけないのに、バスケのルールまで頭に叩き込むなんて、ム・リ!」 力いっぱい否定した。 「時間を見て教えようか?」 「助かる。本を見るだけじゃさっぱりだわ...」 寧ろ、去年1年間、間近で試合を見ていたのに、イマイチ理解できなかったが凄いと思う。 神はそっと溜息を吐いて自主練をするべく体育館へと向かった。 ちゃんとマネージャーが出来ていると牧に言われた。 凄く嬉しかった。 何せ、自分は自分の欲望のため、牧の傍にいたいと思ったために進路を決めてこのバスケ部に入部してマネージャーをしている。 邪だらけの選択なのだ。 これを下心と言わずして何と言う。 だから、牧にだけは知られるわけにはいかない。 牧に知られたらきっと軽蔑される。 だって、きっと彼にとってバスケは凄く意味のあるもので、それをダシに何かをされるとか嫌だろうから。 「そんなこと無いと思うけどね」と神が言ったが、あれはきっと慰めなのだ。 だから、牧にマネージャーとして認められて凄く嬉しい。 キュッキュッとボトルを洗いながらは笑顔を浮かべていた。 |
桜風
11.5.11
ブラウザバックでお戻りください