| インターハイ予選トーナメントの最後にシードの初戦がある。 海南大附属高校は昨年もインターハイに出場したチームであり、今年もシード校となっていた。 そのため、この日がやっと清田の公式戦のデビューとなる。 「長かったね」とが言うと「華々しくデビューを飾るには、まあまあのタイミングじゃないスかね?」と清田が胸を反らせて言う。 「そうだね。湘北のえっと...」 「流川..スか?」 不機嫌に聞かれる。 「赤い髪の子。えっと...?」 「ああ、桜木ッスか!!」 途端に機嫌が良くなる。 「そうそう、彼も中々華々しいデビューしたじゃない?」 の言葉に「脳天ダンクっスね!!」と清田が頷く。 「うん、凄いよね。誰もが忘れられないデビューだよね」 が言うと「ま、俺はもっとスマートにデビュー戦を飾りますけどね」と言う。 ...どうしよう、この子『スマート』て言葉が結構似合わない。 笑いそうになるのを堪えてが「うん、頑張ってね」と清田を応援する。この言葉は勿論心からの言葉だ。 海南が此処で破れるとは思えないが、それでも同じ高校生との試合なのだから、何が起こるか分からない。 その予選トーナメントで波乱が起きた。 牧と双璧と言われていた藤真が率いる翔陽が初戦敗退の常連、湘北高校に負けたのだ。 湘北といえばスーパールーキーといわれる流川が入った学校で、数年前の中学MVPの三井も復帰したらしい。 三井はスリーポイントシューターで、神曰く「俺と同じタイプかな?」だそうだ。 入り始めると止まらない。 つまり、乗せると怖い存在と言うことだ。 「神と同じタイプって、やな感じってことだね」 が真顔で神に言う。 「それ、褒め言葉だよね?」 「うん!凄く褒めてる!!」 が言うと神が苦笑した。 「うん、まあ。そうだね。けど、俺は負ける気がしないけど」 「それってシューターとして?チームとして??」 「とりあえずは、シューターとして?」 神のこの自信満々なところは凄いと思うし尊敬する。 海南は翔陽のような波乱が起きることなくトーナメントは突破し、次のリーグに進んだ。 そして、リーグ戦初戦があの湘北高校と言う。 少し不安を感じつつも、淡々と練習をしている彼らを見るとも落ち着いてくる。 慌てたって仕方ない。 今まで培ってきたものを信じて試合に臨むだけなんだ。 「凄いなぁ...」 思わず零れた言葉。 自分は自信を持って胸を張れるものがない。 だから、ちょっとのことで動揺するし、慌てることだってある。 揺るがない自信、それが凄く眩しい。 「いいなぁ」と零したの背後から「どうした?」と声がして飛び上がる。 「ま、牧さん?!」 「そんなに驚くことないだろう。ちょっと傷つくぞ」 苦笑しながら牧が言う。 「すみません!」と90度に腰を折って頭を下げる。 「は..俺が怖いか?」 突然思いもよらないことを聞かれては思い切り首を振った。 昨晩覚えた英単語が全部出て行くのではないかという勢いで首を振り、ふらふらになる。 「おいおい、大丈夫か」 「は..はいぃ〜...」 まっすぐに立っていられずにヨタヨタしながら答える。 思わず牧がの肩を支えた。この子はホントに危なっかしい。 「あ、ホント。大丈夫ですぅ〜...」 やっぱりふらふらしながらそう言う。 「もうちょっと目が回ったままだろう。ホントには...」 苦笑する。 その声音は柔らかく、温かい。 「ふへへ」とが笑う。 どうしたのだろうか、突然笑い出した。大丈夫だろうか... 「?」 「はい」 「どうかしたのか?」 「いいえ。人生は上って下ってですね」 「...は?」 「牧さん?」 神がやってきて2人の様子を見て、「あ、の変人っぷりは今更ですよ」と今までのやり取りを見たかのようにそう言った。 「神?」と牧が困惑ぎみに問いかけ、「ひどーい」と笑いながらが言う。 何故笑う...?! 益々がわからない、と牧は困った。 「牧さん、監督が探してました」 「ああ、そうか。、大丈夫なんだな」 「はい!」 最敬礼。 少し不安を残しながら牧はその場を去った。 「、確実に『変な子』状態だよ」 呆れた口調で神が言う。 「うん、たぶんそうだね。けど、幸せ〜...」 ふにゃりと笑うは本当に幸せそうで、見ているとこちらもつられて笑顔になってしまう。 「そうか、良かったな」 「うん。人生、下っても上るんだね。しかも、すぐに!」 「偶に時間差があるのは頭に入れておいた方がいいと思うけど...」 苦笑して神が言う。 「そうだよねー、人生うまく行かないね」 今のとはまともな会話が出来そうに無い。相当浮かれている。 「じゃ、俺は行くよ」 「うん、頑張ってね!」 ニコニコと笑顔で送り出された。 |
桜風
11.5.18
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