| が夜になってもこなかったので神が連絡を入れると彼女は上機嫌で長時間、本日のファミレスデートの話をした。 「ね、もう電話切っても良い?」 「だめ!」 そんなやり取りを数回したのち、神は気付いたら寝ていたらしく、朝日がまぶしかった。 練習が再開した。 宿題は何とか目処がつき、ほっと胸を撫で下ろす。 「、宿題はどうだ?」 彼女が殆ど手をつけていなかったのを知っている牧がからかうようにいう。 「何とか、目処はつきました。あの一番高い壁を牧さんに壊していただいたお陰です」 深々と頭を下げるに牧は苦笑した。 そういえばそろそろ国体の準備も要るのかな... インターハイ予選で優勝した海南大附属高校。 ということは、神奈川県代表として国体にも出場することになるのだろうか。 たしか、昨年はそうだった。 今年はどうなるんだろう... 「牧さん」 「ん?」 「国体、今年はどうなるんですか?」 に聞かれて「ああ、そうか」と牧が納得する。 「今年は、混成にするかどうか悩んでいると監督が言っていたなぁ...」 「混成、ですか?どこと?」 「そこまでは聞いていないが、いい選手がいるから全部使ったチームで指揮を執るのも...とか何とか言ってたが、結局どうなるのかまでは聞いていないな。まあ、そうなってもウチは誰かしら出るだろう」 他人事のように言う牧に 「MVPが何他人事のように言ってるんですか。全国でもベスト5に選ばれたのに」 とが呆れたように言う。 「分からんだろう、どういうチームにするかによって変わってくるだろうし」 「いーえ!牧さんはぜっっったいに出場されます!!」 力強くそういわれて牧は少し目を丸くしたが「そうか」と苦笑しての頭をなでる。 頭を撫でられたは固まった。 その様子を見て「ああ、すまん」と牧も慌てて手を離す。 「い、いいえ」 カチコチになったはそのままぎこちない動きでそこから離れていった。 国体は牧が仕入れた情報どおり混成チームとなった。 勿論、海南から複数人選ばれた。 そのための合宿も行われて彼らがいない部活が数日あった。 監督もその合宿に参加しているから、責任者不在のまま部活動をさせるわけにはいかないのでその間の練習は顧問がきていた。 合宿と言っても数日のことで、は合宿最終日に行われる練習試合の補助としてきてほしいといわれてその日が来るのを指折り数えて待った。 会場に着くと湘北のマネージャーがいた。彼女も補助を頼まれたのだろう。 久しぶりの再会を喜んだ2人だったが、忙しかった。 プレスも入るとのことで、その受付や案内、やることが沢山ある。 「試合中はどうする?」 彼女に声をかけられて「彩子さんにお願いするわ」とベンチを頼んだ。 たぶん、そのほうが良いだろう。 「いいの?」と聞かれて「彩子さんにお願いしたい」とが返す。 これまで、国体に出場するのはインターハイ予選優勝校で、今年も海南大附属高校がそれになるはずだった 。 ただ、今回は混成チームになったから自分が此処にいるだけで、だったら海南のマネージャーの彼女がベンチに入るべきではないかと思ったのだが... 彩子はそう思いながら「わかったわ」と頷く。 ベンチにやってきた彩子にチームメイトたちは驚いたようだが、自分が此処に来た経緯をの発言も含めて説明すると「そうか」と高頭が納得したため、彼女がベンチに入ってスコアをつけることになった。 試合中、はずっと奔走していた。 試合を見るどころではなかった。非常に残念である。 試合が終了し、各方面の偉い人とかプレスとかを送り出してやっと一息ついた。 「疲れたー...」 会場の隅で呟くと「ほれ」とポカリの差し入れがある。 「ありがとうございますー」と受け取ってその差し出した人を見て固まった。 牧だった。 「最初、湘北のマネージャーがベンチに来たときはどうしてだろうと思ったが...プレスの人とか、教育委員会とかの人たちがみんなを褒めてたと監督が言っていたぞ」 「ホントですかー。良かった、走り回った甲斐があったってもんです」 「さん」と彩子がやってくる。 「今日はありがとう。あたしじゃきっと何も出来なかったわ」 が奔走したそのことについての言葉だ。 彼女はベンチでスコアをつけると言ういつものことをやっていれば良かったのだ。 しかし、はそこまで見越して彩子にベンチに入ってもらったわけではなかった。 ルールも一通り覚えたし、スコアをつけるのも問題ない。 だが、自分は裏方が性にあっていると思っただけ。 特に深く考えて彩子にお願いしたわけではなかったのだが、どうやら皆さんに勘違いされているようだ。 でも、ふと見上げた牧がどこか誇らしげだったのでみんなの勘違いをそのままにしておこうと決めた。 |
桜風
11.6.8
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