| この春から藤真の大学生活が始まった。 1年のブランクはあるが、藤真の通う学部ではそう言う人は少なくないらしい。 気の合う友人にも出会い、時々同じ授業を取っている花形やともつるんでいたりして、かなり大学生活を満喫している。 藤真のことを知っている何人からか誘われたが、バスケ部には入らず、さらに花形に誘われたがサークルにも入らなかった。 に「どうして?」と聞かれたことがあった。 そのときは苦笑して「なんとなく」と答えたが、正直勉強についていくのが大変だから、というのが理由だ。 身の丈に合わない学校・学部に進学した。 学部によっては、まだもうちょっと余裕があったかもしれないが、それでもここでなくてはならなかったのだ。 受験は1年本気で死ぬ気で頑張れば終わるものだったが、大学生は始まったばかりで、落第だってありえる。 こっそりの目を盗んで花形に勉強を見てもらっているが、それでも辛い。 大学に入って少し驚いたことがあった。 が、男子と話をしている。 男嫌い、というか男が怖いと言っていたが花形以外の男と言葉を交わしている。 正直面白くない。 彼女が、努力をしているのは分かる。だが、面白くないものは面白くないのだ。 以前花形に言うと 「俺も同じくだ」 と苦笑しながら彼は言った。 幼馴染として、最も身近な男として、同じ年だが妹のようにを気にかけていた花形もやはり面白くないらしい。 「ってバイトしないの?」 昼食時、丁度学食でに会った。 彼女も珍しく友人と一緒に居なかったので、藤真は友人に声をかけて彼女の元へと向かった次第だ。 「うん、禁止されているといいますか」 苦笑いを浮かべている。 「ああ、親御さん?」 「うん、凄く心配性だから」 「まだ門限あるんだっけ?」 藤真が問うと 「なんと、1時間延長してもらえましたとも」 とが笑う。 「てことは..10時?」 「そうだね。凄いでしょ」 「飲みとか殆ど難しいなー」 藤真が困ったように言う。 「うーん。まあ、1次会で帰ったらギリギリだから。悪くないよ」 「そっか。じゃあ、今度メシでも」 藤真が言うと 「」 と彼女の友人が声をかけてきた。 心の中で盛大な舌打ちをした藤真は既に食事は終わっており、「んじゃーな」とトレイを持って立ち上がる。 「え、さっき何か...」 友人が藤真の言葉を遮るように声をかけてきた。何か言いかけていたはず。 がそう思って問うが 「や、何でもない。またな」 と藤真は笑ってその場を去っていった。 「ねえ、あの人って良くに声をかけてくるよね。同期だっけ?」 友人が問う。 「ううん、同じ年だけど1期下」 の言葉に「なぁんだ、顔だけか」と彼女が言った。 は驚いて彼女を見上げる。 「なに?」 そういいながら彼女はの隣に腰を下ろす。 「や...何でもない」 「そう?まあ、いいや。ね、それよりも今度合コン行かない?」 「行かない」 は素っ気無く返して、目の前の昼食を片付けて席を立つ。 「えー、何で?男嫌いを克服するいい機会じゃない」 「ご心配どーもー」 そう返してはトレイを所定の場所に戻して午後の授業がある講義室へと向かった。 |
桜風
12.8.15
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