Sweet love 14





「俺、先輩が好きです!」

突然で、思ってもみなかったその言葉にあたしは言葉を失った。

目の前にいる清田くんがありえないくらい顔を真っ赤にして、でもあたしと合わせていたその目は何だか真剣に見えて。

どうしよう、と正直な気持ち、困った。

「や、あの!これ...」

すぐに慌てふためく。

その姿に何だか少し安心した。

だから、あたしは

「あ、ああ。冗談?ドッキリ??」

と確認した。

だって、清田くん好きな子がいるとか言ってたじゃんね?

「冗談とかじゃないっス。本気です!あの、えっと。や、だから...大学行っても頑張ってください!先輩に会えなくなるってかなり寂しいですけど」

さっきみたいな真剣な目をしたかと思うと今度は語尾が段々小さくなって、清田くん自身も何だか小さくなっているように見える。

「じゃ、失礼します!」

と言って清田くんが見せた背中に思わず手が伸びた。

あたしの手は、清田くんの制服の裾を掴んでいる。

驚いた顔で振り返った清田くんに

「ありがと、清田くん」

と心からの言葉を返した。


今まであたしはどれだけこんなまっすぐな言葉をもらったことがあるだろうか。

そう考えてみて、中々思い出せない。

皆なんだかあたしの事を心配してくれてるのは分かってる。言葉に出さなくても、目が、そう言ってる。

それを迷惑だ、とか思ったことはない。ありがたいことだと思う。

だけど、だからこそ。清田くんのまっすぐな言葉がとても嬉しくて、くすぐったい。

「ねえ、清田くん」

「はい」

「あたしが何処の大学行くか、知りたくない?」

「...知りたいっす」

「海南大」

「......へ?」

「すぐそこに行くのよね」

大学のある方を指差してそう言う。

「え、あ。えーと」

清田くんの視線は中を彷徨い、そして顔は再び見る見るうちに赤くなる。

「だからね。寂しくないよ、きっと。だって、会おうと思えばすぐに会えるもん」

にこりと笑って見せると清田くんは照れたように笑う。

「あ!じゃあ。また応援に来てくれますか!?」

「いいよー」

「差し入れも!」

え、それはやっぱり必須項目?と思いつつ

「おっけー」

と返事をすれば清田くんはガッツポーズ。


「あ、あの。もう1個!」

清田くんが右手の人差し指を立てて言う。

「なに?」

興味を持って聞くと

「また、デートしてください」

と赤くなりながら言う。

これにはあたしも驚いてすぐに返せなかったけど。

「清田くん次第、かな?」

と言ってみた。

ぐっ、と言葉に詰まった後

「頑張ります!」

と高らかに宣言。

時計を見て

「うわ、もうこんな時間だ。先輩、じゃあ、また!!」

とおおよそ、さっきまで会えなくなるのが寂しいとか言っていた人とは思えないくらいあっさりとあたしの前から遠ざかって行く。

まったく、いつもと様子の変わらない清田くん。

その変わらない清田くんに少しだけ安心した。









桜風
10.2.10


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