| 夏休み初日。 部活のために体育館に行くと、いつもある体育館の真ん中のネットの仕切りがなかった。 その代わり、知らない学校の生徒たちがユニフォームを着てたりジャージを着てたりしながら所狭しと体育館の中にいる。彼らの着ているユニフォームやジャージには『SHOYO』と書いてあるってことは、翔陽高校か。 「...、聞いてる?」 が隣に立っている友人に問う。 「NO!」 そう強く否定してズンズカと憤りを全身で表現しながらは顧問の元へと向かった。 ちょうど、翔陽の代表であろう生徒と話しているところのようだが、憤りが隠せないは気にせずに顧問に声をかけた。 「どういうことですか!!」 主語もへったくれもないが、彼女の言いたいことは顧問には伝わっている。 「。いや、連絡を入れようとは思ったんだがな?」 「入ってません!」 「あ、うん。えーと、こちらは、翔陽高校のバスケ部キャプテンと、エースだ。翔陽がウチと姉妹校っていうのは知っているな?」 「ええ、そーですね!!」 「それで、練習試合を申し込まれて...ウチとしては協力できることはしたいじゃないか」 顧問、既に逃げ腰だ。 「それで?!」 「期間的に、今日しか試合が組める日程がなくて、受けたんだ」 「聞いてません!」 「いや、うん。には、悪いとは思っているんだが...やっぱり全国に行く学校だろう、翔陽は。だったら、ウチの弱小クラブよりも優先するべきじゃないか」 さすがにその言い方はどうだろうなぁ、とキャプテンの隣に立っていた翔陽高校バスケ部エース藤真健司は心の中でそっと溜息を吐き、同時に『』と言われている彼女に興味を持った。 彼女はこうして憤っている。 その理由はきっと顧問に蔑ろにされたことではなく、バスケットが出来ないことへの怒りだ。 心から、全身でバスケが好きだといっている。 「はいはい、そこまでにしよ、。相手は、どんなに自分が担当している部を卑下するような人でも顧問で監督で学校の先生。それ以上は、やめなさい」 これまた手厳しい事を言うものだ。 面白い2人だな、と藤真は興味を示す。 顧問としては、これ以上の怒りの矛先が自分に向き続けることがなくなったので多少酷いことを言われても流せるようだ。 「ま、仕方ないから外周走って..終わりにしよう?」 を宥めながらはそう言って暖かい視線でのことを見守っている部員たちに顔を向けた。 彼女たちは頷いて、「部長!先行きますよ!」とか「先輩、はやく!」とか声をかけている。 仕方ない。外周を走るか... 「、負けんなよ」 「ムリ!!」 男子バスケ部部長にが言うと反射で返事が返ってきた。 「なにを〜!相手は同じ高校生だろうが!」 「同じじゃねぇ!!」 「ほらほら、。1年が待ってるよ」 口げんかを始めそうになったバスケ部男女部長を引き剥がすべく、はを引きずって体育館の外へと向かい、途中、顔見知りと目があって足が止まった。 「あれ、花形くん!?」 「よお」と花形は苦笑している。 この女バス凸凹コンビ結構面白い。 「翔陽だったんだ?」 「ああ」と短い会話をして、たちを呼びに来た1年の声に応じてたちは急いで体育館を後にした。 「知り合いか?」 翔陽サイドのベンチに戻ってきたキャプテンが花形に声をかける。 「はい。中学が一緒だったんですよ」 「あっちのキャプテンの子も?」 藤真の言葉に苦笑しながら首を振る。 「いや、あの子は初めて見た」 「凄かったよな、あの子の迫力」 部員たちはそれぞれ先ほどのやり取りに興味があったらしく、面白がった。 「バスケバカなんだろうな、きっと」 「お前に言われたくないと思うぞ」 藤真の言葉にキャプテンがツッコミを入れ藤真は首を竦める。 確かに... ピー!と笛が鳴る。 そろそろ試合が始まるということだ。 「じゃあ、まあ。女バスの部長に責められた顧問の先生の期待に応えることとするか?」 キャプテンがそう言い、それを合図に円陣を組んだ。 |
桜風
10.9.8
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