| 着替えて靴箱のところに行くとと翔陽バスケ部の人間山脈たちが居た。 「あれ?」 「さっき話してたんだけど。おなか空かない?」 「空いた!」 「というわけで、どっか寄り道して帰ろうって。ほら、駅までの道でファミレスあるじゃん。あそこはどう?」 「わかった。チャリ取って来るから先向かってて」 がそういうと、「オッケー」とが頷く。 「藤真くん、シャワー浴びたかった?ごめん、気がつかなかった...」 汗だくになって熱血指導してくれた藤真に気遣いを抜かった。 は反省する。 「ああ、いいって。ウチも1年はシャワー使えなかったから慣れてる」 「おっまたせ〜!」 ズササー、とタイヤがすべる。 自転車置き場は学校の敷地の端っこにあるらしく、合流までに少し時間があった。 けど、どれだけスピードを出してたんだ... 危険な運転だなぁ、と思ったが誰もそれは指摘しなかった。 少し歩いて目的のファミレスが見えてきた。 「先に行ってチャリ置いてくる」 そう言っては猛然とペダルをこぎ始めた。 「自転車部、ってないの?」 「あったらスカウトされてるわよ、とっくの昔に」 だよなぁ... 皆は何となく納得した。 先に着いたは既に店内に入っており、みなの席を確保していた。 休みだし、夕方なのでそこまで混んでいないだろうと思ったが、皆が席に着いて少ししてから混み始めた。 「ギリギリだったね」 が言うと 「今日、此処の近くで何かのイベントがあったはずだから」 とが返す。 「いつ知ったの?」 「さっき、外周走ってたとき」 そんな会話をしながらそれぞれが注文を済ませ、程なくしてそれらがやってくる。 「あの、さ。さん」 言いにくそうに高野が声をかける。 「んー?」 「それ、マジで今食うの?」 「おなか空いたもん」 当然でしょ?といった感じに頷いた。 が注文したものは、グラタンだ。 結構重いぞ? 「晩飯は?」 「家で食べるよ?」 不思議そうな表情を浮かべては答えて「いただきます」と手を合わせた。 夕飯前、しかも真夏。 そのチョイスはどうなんだろう... 同じテーブルに座る同年代の男子の奇異な視線を一身に受けつつ、何事もないかのようにはグラタンを口に運ぶ。 「それ、美味そうだな」 おーい、藤真?! チームメイトの視線が集中する。 「うん、美味しいよ。これ、季節ごとに材料が違うから、季節が変わるごとに1回は食べる」 得意げにが言う。 「春は?」と藤真。 「菜の花」 「じゃあ、夏は?」 「茄子。で、秋がきのこで。冬が牡蠣。やっぱり一番高いのは冬なんだよねぇ」 しかし、まあ。この暑い季節に熱々のグラタンを食べるなんて、と思ったが藤真の言うとおり意外と美味しそうに見えてくる。 「って、ホントに美味しそうに食べるよね」 代表してが言う。 「美味しいよ?」 きょとんとが返す。 なんと言うか... たぶん、という子は全てにおいて素直なのだろう。 バスケがしたい、と全身で怒りを表したり、結構腹に来そうな熱々のグラタンを美味しそうに食べたり。 何となく気になって、藤真をこっそりと見た。 何だか目が輝いているような... と、言っても。こう..色っぽい話ではなくて、面白いおもちゃを見つけた子供のようで。 で、結局藤真は何で帰らずに残ってみるとか言い出したのだろう... その真意が読み取れないまま、何となくファミレスでの時間を費やした。 |
桜風
10.9.28
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