| 「花形くんって、と同中だったんだよね?」 店を出たところでに聞かれて「ああ」と頷く花形に「じゃあ、送ってあげてね」とが頼む。 「ああ、わかった」 「悪いわねぇ、花形くん」 「さんは?」 藤真が聞くと 「これから1時間自転車を漕いで帰る。家に帰ったらちょうどおなか空いた頃だよ」 と返された。 「1時間?!めちゃくちゃ遠いじゃん!!」 驚いた高野にが笑う。 何故笑われたのか... 「ううん、本当ならチャリで10分。けど、今日はちょっと早いから心臓破りの坂に果敢に挑もうと思います!勇猛果敢!!...あれ?これ、どの学校の横断幕だっけ?翔陽??」 敬礼をして宣言したは良いが、別の事が気になった。 「たぶん、陵南。ウチは闘魂」 「あー、そっか。で、海南が常勝だよね。...海南って、負けたらその『常勝』ってもう使えないよね?『ほぼ常勝』とか『かつて常勝』に変わるのかな?」 また変なことを... そう思ったが、何だかおかしくなった。 「だよな?そうだよな。海南、負けたらどうなるんだろう?」 高野が笑いながら周囲に言う。 「あー、『かつて』ってのが良いな」 と永野も乗る。 「やってみたいよな」 と長谷川。 この人、しゃべるんだ... また変なことに気を取られるだったが、翔陽バスケ部員たちは打倒海南に燃える。 男子って単純だなぁ、とは少し呆れていた。 「じゃ!心臓破って来ます!!」 最敬礼をしてそのまま自転車に跨り、あっという間にの姿は見えなくなっていった。 「破ったらダメだろ...」「破ったらダメでしょ...」 高野との声が重なり、皆はそれぞれ苦笑した。 「さんって、猪突猛進だな」 帰りの電車の中で花形がに言う。 「うん。見てて面白いよ。基本、迷惑が掛かるような猪突猛進じゃないし」 クスクスと笑いながらが答えた。 「けど、がバスケ部ってのは意外だったな」 「そう?まあ、うん。そうね...見学に行ったらが楽しそうだったから、何となく面白そうに見えて。まあ、超弱小だから試合で勝った事1回もないんだけどね。でも、めげずに頑張ってるのが居るから何となく皆もついていってるのよねぇ。一種のカリスマ性かも」 「夏の予選までは先輩居たんじゃないのか?」 「居たけど、うん。今日の藤真くん的な可愛がり方をしてたよ。あのまっすぐさは、見ていて気持ちいいでしょ。弱いことを嘆いて誰かにあたることをしないし。さっきも言ったけど、基本的に他人に迷惑を掛けるような感じじゃないから」 の言葉にちょっと迷って「でも、顧問の先生は...」と反論してみたが、 「あれは先生の仕事。それ込みでお給料貰ってるんだから」 とばっさり切られた。 まあ、そうだが... 「今年、全国ってどこだっけ?」 不意に話題が変わった。 花形が答えると「ああ、そうだったっけ?」とが返す。 「おいおい、お前だって目指してたんだろう?」 「んー、どうだろう。目の前のことを一生懸命やってはいたけど、辿り着けるとは思ってなかったから」 と肩を竦める。 「ま、いいや。じゃあ、お土産ヨロシクね」 ニコリと微笑んでが言う。 先ほど、高野がのことを黙っていれば結構男子に人気のありそうなタイプに見えると言っていたが、このという人物もとは真逆のところにある人気のあるタイプだろう。 そして、ちょっと厄介なのはがそれを自覚して発揮しているところだ。 「...」 何となく、抗議の念を込めて名前を呼べば 「自覚ある小悪魔と無自覚な天然小悪魔。どっちが厄介だと思う?」 と返されてうな垂れるしかなかった。 「温泉饅頭で良いから。と山分けするし」 「覚えていて、尚且つ買う時間があったらな」 「ホテルで買えば良いじゃない」 ニコニコと笑って言う。 「りょーかい」 「やった!」 同級生のこの女子ってこんな性格だったかな、と思いながら花形は敗北を認めた。 |
桜風
10.10.6
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