| 水分を取って体力も回復したらしいは先ほどよりも顔色は良くなっていた。 「送るよ」と藤真が言うがはそれを断った。 しかし、それで引き下がる藤真ではなく、無理やり自転車の後ろにを乗せてペダルを踏む。 「家、どっち?」 「あっち」 大人しく観念したらしいは自分の家の方向を指差した。 「藤真んちは?」 「向こう」と藤真は少し振り返った。 つまり、逆方向のようだ。 「うわぁ、ごめん。やっぱり良いよ」 そう言っては藤真のシャツの裾を引っ張ったが「だーめ」と返された。 「オレが気になる。、ちゃんと家に帰れたかなーとか。だったら送ったほうが楽」 まあ、確かに気がかりだ。 自分が藤真の立場だと同じことをすると思う。 そう思うと「申し訳ない」と小さく呟き、送ってもらうしかないと観念した。 「ホント遠回りなんだな」 藤真は苦笑して自転車を降りた。 夏休みに入ったばかり、とはじめてあった日に彼女はあの心臓破りの坂は遠回りになると言っていた。 彼女を家まで送るとその遠回りっぷりが良く分かる。 「んじゃな」 「ありがとう」 自転車をに引き渡して藤真は片手を上げた。 スポーツバッグを肩に掛けても軽く手を上げる。 夏休みもあと少しで終わるというときに電話があった。 母親に呼ばれて受話器を受け取る。 「ふふふ」と意味深に笑う母に首を傾げて「もしもし?」と電話に出た。 『お?。オレオレ』 「...どなたですかー?」 『オレオレ』言うなよ、と思いながらはすっ呆ける。 『何だよー。わかんないか?この美声』 そんなことを言うからは思わず噴出した。 「で?何?って、何で藤真がウチの電話番号知ってるの?」 『花形にさんに聞いてもらった』 ああ、なるほど。あそこの繋がりからか... 『それで、明日暇か?』 「宿題が残ってるくらい..かな?」 『ああ、それならオレもオレも』と笑いながら藤真が言う。 『じゃあ、バスケ見に行かないか?』 「行く」考えるまでもない。そこで「行かない」というはいない。 「何の試合?」 『大学』 「あ、行きたい」 何となく行きたいとは思っていても一緒に言ってくれる人がいない。 さすがに、大学の試合はひとりでふらりと行くには少し抵抗があったのだ。 『男子のだけど』 「いいよ。行きたい」 『んじゃ』と藤真が待ち合わせの時間と場所を指定した。 大学の試合、としか聞いていないが藤真がつまらないプレイをする学校の試合を見に行こうなどと言うはずがない。 そういう点で藤真はとても信頼できる。 そこまで思ってはハタと思う。 なんで自分はここまで藤真のことを信頼しているのだろう。 会ったのなんて2回だし。 「うーん」と唸って考えたがふと思い出した。 「と藤真くんってホント似た者同士の匂いがぷんぷんするわ」 に以前そういわれた。 そうでもない、と思いつつもそうかなぁ?とも思った。 でも、たぶんそうなのだろう。 とにかく、明日思う存分試合観戦を楽しめるように、少しくらいは宿題を済ませておかなくてはならなくなった。 |
桜風
10.10.27
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