| 藤真との待ち合わせの場所に行くと、既に彼はそこにいた。 「あれ?遅れた?」 「いや、オレんちからはバスの時間がちょっと合わなかっただけ」 それは悪いことをした、と少し思った。 それを言ってくれれば自分だってもう少し時間調整をして待ち合わせ時間前に来たと言うのに。 藤真に言うと「それだと待ち合わせの時間の意味がないって」と笑われた。 まあ、確かに... 藤真に連れられて試合のある学校へと向かった。 今回のは練習試合らしい。 「何で知ったの?」 「ああ、先輩がいるんだよ。去年卒業した先輩。それでたまたま聞いたからもどうかなって思って」 「ありがとう。今日、楽しみで昨日宿題はかどったよ」 笑いながらが言うと「まじめだなぁ」と藤真は苦笑した。 「そうかな?藤真は宿題残ってるって言ったけど、大丈夫なの?」 「オレには花形が居る!」 胸を張って藤真が言う。 「えー!?花形くん、写させてくれるの?!いいなぁ...」 心底羨ましそうにが言った。 「だって、さん居るじゃん。彼女、宿題とかしっかりしてそうだし」 藤真の指摘には溜息をついた。 「しっかり宿題完璧にしているよ?してるけど..写すのは許してくれないの」 肩を落としてそういう。 「意外と厳しいんだなぁ」 の話をしている彼女の表情を見たときには結構甘やかしているようだったのに... 「厳しいよー。こう..ぴしゃりと怒られることが多いの」 「宿題も?」と聞くとはコクリと頷いた。 藤真は苦笑して「ま、さんの優しさなんだろうなー」といった。 「花形くんタイプの優しさを所望します」とブツブツ言っているの独り言はとりあえず黙殺しておいた。 会場に着くと既にギャラリーはいっぱいだった。 「挨拶は?」 先輩が所属しているのだから、挨拶が居るだろう。 「終わってから」 「負けたら挨拶しづらいよ?」 の言葉に藤真は苦笑し、「大丈夫だと思う」と返した。 試合は、高校男子以上の迫力の展開には目を輝かせて観戦した。 藤真の先輩が所属しているチームの方が勝利して終わった。藤真は少し安心したように息をつく。 はその様子を見て見ぬ振りしておいた。 「ちょっと行って来るわ」と藤真がいい、「ここに居るね」とが返した。 「ちわっす」と藤真が声をかけると先輩は笑いながら応える。 「今回の彼女は珍しいな」と言われて首を傾げた。 『彼女』って誰だ? 「とぼけんなって。お前、女の子と一緒に応援してくれてただろう?」 つまり、の事を言っているようだ。 「いや、あいつは彼女とかそういうんじゃないス」 「本当か?!勿体無いなぁ...」 そう言って先輩は藤真の後方にいるを見た。 その視線に気が付いたらしいはぺこりと会釈をした。 「可愛いじゃん」 まあ、可愛いとは思う。一般論では。 そこに性格をプラスすると...どうなんだろう?プラスしても自分的には特に問題ない。 そうか、問題ないなぁ... 「藤真?」 「はい」 名前を呼ばれてはっとした。 「大丈夫だって。取らないから。そんな心配そうな顔すんなって」 苦笑して言う先輩にちょっとムッとしたが「どうも」と返しておいた。 「そういや、今年の文化祭。いつだ?」 文化祭は秋にある。 藤真が日にちを答えると「行けたら行くわ」と先輩が言う。 別に来てもらわなくてもいいのだが... そう思ったが表情に出さずに「はい」と返事をしておいた。 挨拶を済ませての元へと戻る。 「わるい」 「ううん。さっき、何で見られたの?」 藤真の先輩が何故に自分を見たのかが気になった。 「ああ、彼女だって勘違いされて...」 「ああ、なるほど」とは納得した。 納得したようだが、その納得したレベルと言うか範囲というか。それはイヤなのか嬉しいのかそれがさっぱり分からない。 「って..カレシ居るの?」 「今は居ないね」と返ってきて意外に思って正直驚いた。 『今は』ということは居る時があったのだ。 「へぇ...」 自分で話を振っておいて何となく反応が上手くできずに思わず藤真は間抜けな声を漏らした。 |
桜風
10.11.3
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