| 夏休みが終わり、自分主役的な体育祭が終わって中間テスト最終日。 はに呼び止められた。 「なに?」 部室に向かう途中だ。テストが終わった本日は色々な解禁日である。 「あのさ、11月なんだけど」と言ってが話を始めた。 内容を聞き終わって「ほうほう。いいよ?」とは楽しそうに頷いた。 「じゃあ、詳しい時間とかまた聞いてから連絡する」 「でも、何で藤真にはナイショなの?」 首を傾げて言うにも首を傾げた。 「わかんない。けど、何かさ。花形くんは乗り気じゃない感じ」 「だったら、きっと残りの3人がロクでもないことを考え付いたんだろうね」 笑いながら応えるに「だと思うわ」とも苦笑した。 冬の選抜の予選が始まった。 始まった途端その大会が終わるのがたちの通っている高校のバスケ部だ。 今回も男女揃って一回戦負けを喫した。 「どうやったら勝てるんだろう」心から不思議に思ってが零す。 「くじ運と、やっぱ練習あるのみでしょうね」 に言われ、「くじ運は、本気で悪いもんなー」と自分のくじ運を嘆いた。 生まれてこの方『1等』というものを引いたことがないし、懸賞も当たったことが無い。 うんうん唸っているに苦笑して「まあ、今度の休みに試合見に行こうよ」とが話を変えた。 「だね。参加できる人は参加してもらって試合見に行こう」 「あれ?私、男子の見に行くつもりで話をしたんだけど...」 の言葉には首を傾げた。 「負けたじゃん」 「翔陽。それなりに交流があるんだから、応援に行ってもいいんじゃない?」 なるほど... 「わたしの師匠がいるしね」 はそう言って笑って頷いた。 「藤真ー!」 丁度休日に翔陽の試合があった。 というか、決勝戦だ。 スタンドから身を乗り出してコートにいる藤真に声をかける。 驚いて振り仰いだ藤真は苦笑した。 「おっこちるぞ」 「救護室があるから大丈夫!」 「危ないもんは危ないのよ!」 すかさずに叱られた。 肩を竦め、「んじゃ、頑張ってねー」と声をかけて仕方なく、大人しく自分たちがとっていたスタンドの上方の席に戻った。 下の方は翔陽の部員達が占領しているので、上の方しか空いていないのだ。 「でも、本当に海南って強いね」 『常勝』の旗を正面に見ながらは呟いた。 「藤真くんたちだって決勝戦よ?」 「回数が違うじゃない。翔陽は強豪だけど、海南ほどじゃないんでしょ?」 まあ、確かにとは納得した。 そういえば、夏にが言った『かつて』常勝ってのを彼らは気に入っていた。 そのとおりになるのだろうか... 少し期待してその試合を見守ることにした。 との期待も空しく、勝利を収めたのは海南だった。 「負けちゃったね...」 何故かが心底残念そうに呟いた。 「そうね。でも、まだチャンスは残ってるわよ」 「でも、牧くんって同学年だよ」 が言うとは溜息を吐いた。 「それ、藤真くんにとても失礼よ」 指摘されては表情を変えた。 「あ、そか。うん、そだね...」 「自分の師匠、信じないと」 の言葉にはコクリと頷いた。 会場を後にしていると「おーい」と声が聞こえて振り返る。 ぶんぶんと手を振っているのは藤真だった。 足を止めて彼らが追いつくのを待ってみた。 「悪いな、せっかく応援してくれたのに負けちまった」 と清々しくいう藤真には苦笑した。 「悔しくして良いのに」 の言葉に藤真は虚を突かれた様に目を丸くしてそして表情が変わる。 「うん、かなり悔しい」 「まあ、まだチャンスはあるんだし」 が言うと「だな、」と藤真は苦笑いをした。 「何か食って帰らないか?」 「藤真の奢り?」 「何でオレがお前にそうそう奢ってやらなきゃならん」 半眼になって言う藤真に「レディですから」とが返した。 「おまえ、『レディ』って何か知ってるか?」 「わたし!」 「寝言は寝て言えよな」 テンポの良い会話にいつの間にか全員がクスクスと笑い始めた。 それに気が付いたと藤真も顔を見合わせて笑う。 「じゃ、花形の奢りな」 「花形くん、太っ腹!」 「何故?!」という表情を浮かべる花形に誰も助け舟を出すことは無く、その場が丸く収まってしまった。 |
桜風
10.11.17
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