| ざわざわと賑やかだ。 周囲をキョロキョロと見ながら歩くとは対照的にはまっすぐ顔を前に向けて歩いている。 「来たことあるの?」 「あるわけ無いでしょ?」 そうなのか。それなのに、堂々とまあ... ここは男の花園。つまりは男子校。 来たことがあるわけが無い。 「あ!焼きそば」 はそう言って屋台に駆けていった。 しかし、まあ。さすが男子校... は溜息をついた。 出ている屋台がどれも『ガッツリ』系なのだ。はともかく、自分はちょっと見てるだけで胸焼けを起こしている。 駆けていったを待つべく、壁際に寄って彼女の様子を見ていた。 あの性格のお陰で何処でも馴染めるのがの強みだ。 はあ、と溜息が零れる。 実は人ごみが苦手だ。もっと正確に言えば、一人での人ごみが苦手なのである。 「ねえねえ」 ほらね、とは思って顔を上げた。知らない男がそこに立っていた。 早く帰ってこないかな... 自分は結構顔立ちは派手な方だと思う。所謂男受けのする顔と言うか、美人といわれることが多い。だからか、友人が居なかった。 女子というのはそういうのに結構厳しい。自分よりもモテそうな子とは並びたくない。引き立て役と歩きたい。 そんなことを考える女子が多かった。少なくとも、の今まで歩んできた道では。 高校に入って、さて、目立たずに過ごそうと思ったら同じクラスになった女子にはしっと手を握られた。突然、何も言わずに。 「ねえ、身長いくつ?」 「は?!」 「高いよね。わたしよりも高いってことは170くらい?」 「なに?」 「うわー、良いなー。バスケに興味ない?無くても、興味持って??」 真顔で言われた。 何なの、この子... 正直、初対面でここまでズカズカと入り込んで来た他人なんて今まで居なかった。 この子は躊躇いも無く、自分の中にズカズカと入って来た。 「興味ないんだけど」 「よし!じゃあ、一緒にバスケしよう!!」 この子は会話をする気がないのだろうか... そう思いつつも放課後そそくさと帰ろうとしたらやっぱり腕を掴まれてそのまま体育館に連行された。 そして、バスケ部の練習の見学をさせられた。 何が面白いのか分からないが、彼女は目を輝かせてその様子を見ていた。 「バスケ、好きなの?」 「もち!えーと、ごめん。名前なんだっけ?」 てへ、と頭を掻きながらが聞いてくる。さすがに呆れては溜息を吐いた。 「」 「ね。オッケー。わたしは、よろしく。あ、呼び捨てで良いから」 『良いから』と言われても...は途方にくれた。 自分は人との接点をなるべく持たない高校生活を送ろうと思っていたのに... なのに、目の前のと名乗ったクラスメイトはそれを堂々とぶち壊そうとしていた。 最初のうちは抵抗を見せていたが、抵抗空しくのペースに載せられて結局バスケ部に入ってしまったし、お陰で人とのかかわりをたくさん持ってしまった。 時々暴走してしまうのブレーキ役となってしまった今は彼女と同じだけ人との接点を持っている。 相変わらず女子のやっかみとか受けることはあるけど、でも、いつも一緒にいるがそういうのを全く見せないから中学のときに比べたら全然楽しい。 あの子のいちばんは恋愛ではなく、バスケ。そして、そのバスケを彼女から奪うことが出来る人なんて居ない。自分だって、奪えない。我慢させても、それは何故我慢するように自分が言っているかは理解しているからちょっと拗ねることがあっても納得している。 「あれ?。お友達?」 そういえば、って街中でナンパされても全くそうだと気がつかないこととかあったな... そう思いながら「ううん。知らない人」と返しての腕を引いてその場を去った。 唐突に出てきた女の子が屈託なく「お友達?」と聞いたものだから反応が遅れた彼らはさりげなく逃げていったたちを追いかけることが出来なかった。 「朝からそんなに食べるの?」 焼きそばを2パック購入しているに呆れると「ひとつはの」と返されて、は「ムリよ、入んない」と呆れた口調で返したが、その表情は優しく、嬉しそうだった。 |
桜風
10.11.24
ブラウザバックでお戻りください