| 人間山脈を見つけては手を振る。 「お?さんとさんだ」と気づいたのは長谷川で勢いよく手を振ったのは高野だ。 「ちょっと遅刻..って何でそんなに買ってんの?」 「欲しくなっちゃって」とが笑う。 手には焼きそば以外にもたこ焼きやお好み焼きと言ったものまである。 「朝飯、抜いたの?」 「ううん。ちゃんと食べてきたよ」 「この子、これで太らないから反則よね」 が苦笑して彼らに訴えた。まあ、彼女の場合は運動量なんだろうなと思いながらも相変わらずの食欲に苦笑する。 「でさ、何で藤真くんにはナイショなの?」 が問うと、 「あいつが嫌がるから」 と永野が楽しそうに笑った。 「プログラム、貰ったか?」 「あ、正門のはもう無かったから。皆に見せてもらおうって思って。見せて?」 が長谷川に手を向けると彼は自分の持っているそれを渡した。 「未だにミス何たらがあるの..ミス?!」 花形からプログラムを貸してもらったが二度見をした。 「え、『ミス』?ここ、男子校でしょ?」 「だから、出来る企画だろう?女子が居たら色々と問題になりそうじゃん」 「じゃあ、藤真がこれに出るんだ」とは納得して手に持っているたこ焼きを口に入れた。 「そゆこと。物凄く嫌がってたけど、まあ、バスケ部の先輩命令」 「皆は?」 が聞くと 「阿鼻叫喚地獄絵図が出来上がるから止めた方がいいと思うわ」 とが呆れたように返した。 「失礼だなー。こう見えて俺だって良い線行くと思うぜ?」と、しなりながら言う高野に皆は「いやいやいやいや」と手を振った。 みなのその様子を見ては声を上げて笑い、「じゃあ、それって昼いちみたいだから、それまで時間をつぶそうよ」と提案した。 この場に藤真が居ないのは、たちが来たらそれこそ全力で逃げてしまうからだろう。それを許してしまうと高野たちが先輩にしばかれる。 午後になり、たちは体育館に向かった。 体育館は満員だった。 既に座る場所が無く、仕方なく体育館の壁際に立つ。 「席、ばらばらでいいならありそうだけど、探してこようか?」 長谷川が言うととは顔を見合わせて同時に首を振った。 「迷子になるかもしれないから」とが言う。 まあ、本人達がいいならいいけど、と彼らは強く勧めることはしなかった。 そして、派手な音楽と共に始まったのが『ミス翔陽高校』である。 エントリーされている各代表が出てきた。 クラスでも部でもどういう括りでもいいらしく、バスケ部以外にも部単位での代表を出しているところがあった。 「盛り上がるねー」とお腹を抱えながらが言う。 隣に居たは笑いすぎて膝をついて立てない。 「これって、どうやって決めるの?」 「投票。このあと、それぞれがアピールして、文化祭終了1時間前が投票締切りで文化祭の閉幕式のときに表彰って流れ」 息継ぎが上手くできずひぃひぃ言いながら聞いてくるに花形が答えた。 「ていうか、お化粧をなれていない男子がお化粧をするもんだからこれまた...」 もそろそろ立ってられない。何だ、あのバケモノたちは...!! 「いやいや、逆に慣れててもイヤでしょう」とが返す。 そして、バスケ部代表にアピールの順番が回ってきた。 はワクワクしながら壇上に注目する。既に自力で立っていられない状況で、傍に居た長谷川の肩に手を置かせてもらっている。ちょっと高さのある杖だ。 藤真は壇上からあたま2つ分以上背が高い集団を見つけて眉を顰めたが、すぐにマイクを落とした。 その集団の傍には女子が2人居て、既に笑いすぎて立っていられなくなった様子である。 『ちょ、ちょっと待て。お前らなんで居るんだ!!』 拾ったマイクを使ってそう叫ぶ。 「藤真くん、ステキよー」と。 「藤真、可愛い可愛い」と。 完全に楽しんでいる2人にわなわなと藤真は震える。 誰だよ、あいつら呼んだの... やけっぱちになりながらアピールをして次の人にマイクを渡した。ちらりとチームメイトたちのいる方を見るととの姿が見えない。だが、何だか女子の笑い声は聞こえる。 蹲って笑ってやがる... くそっと小さく呟いてこのイベントが早く終わることを心のそこから願った藤真だった。 |
桜風
10.12.1
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