飛び出せ、青春!! 15





二学期が終わって、冬休み。

さすがに帰省等々があるため、部活も27日にはその年最後を迎え、自身も学校に行くのはやめた。

学校に行かなくてもリングがあるところを知っているのだから、教師達に面倒な思いをさせる必要がないという考えだ。


その日も練習に行こうと思って準備をしていると電話がなった。

誰も居ないことを思い出して出てみると『藤真と申しますが』と受話器の向こうでは澄ました声の藤真がいることがわかる。

「何?」と返すと『何だ、か』と返された。

「『何だ』とは失礼ね。で、どうかした?バスケのお誘い??って、自分たちはありますよねー、練習はギリギリまで」

『おう。今日もこれから練習なんだけど。それはともかく。たしか、って生粋の地元民って言ってたよな?』

「うん。田舎の概念が無いけど。何?」

『初詣、一緒に行かね?』

「皆で?」

『誘ってるけど、あいつらは田舎に帰る可能性が高いんだ。前回もオレ、振られたし。んで、今回はいるからどうかと思ってさ』

「んー、地元民って言っても一応、おじいちゃん達の家に行く日があるからね。聞いてみる。あとで連絡するわ。番号教えて」

の返事に藤真は納得して自分の家の電話番号を教えて、『夜なら9時ぐらいならさすがに家に居るから』と付け加える。

「ん。じゃあ、親に聞いてから9時過ぎに連絡する。その時間に電話しても大丈夫なんだよね?」

の言葉に『おう』と返事をして藤真は電話を切った。


その日の晩にから連絡があった。

祖父の家には行くが、挨拶が済んだら早めに抜けてもいいとのことだった。

「夜じゃないんでしょ?」

さすがにそれは言えないだろう、と藤真は苦笑して『おう。何時なら良いんだ?』と確認した。

「んじゃ、2時は?待ち合わせは駅でいいよね?」

『だな。場所は南口のロータリーんとこで。時間は2時』

藤真の言葉に「オッケーです」とは返して電話を切った。



年が明けて、親戚との挨拶を済ませたは時間少し前に着くように家を出た。

周囲を見ると着物を着た綺麗なお姉さんとか可愛らしいお嬢さんとかがたくさん居て、「あ、そっか。晴れ着...」と今更ながらに着物の存在を思い出す。

だが、自分は着物を着るなんて出来ない。そう、これから藤真に会うのでそれは出来ないのだ。

「よう」と声を掛けられては安堵した。藤真の普通の服だ。しかも、今回は自分の方が早かった。

「あけまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

深々と他人行儀に挨拶をするに一瞬面食らった藤真だが、「あけおめ。ことよろ」と見事に短縮した言葉を使った。

「無礼者」

が呟くと「ははっ」と藤真は笑う。そして、その視線の先は、が持っている少し大きめのバッグだった。

そう、丁度あれが入りそうなそれだ。

「で?何処の神社に行くの?毎年行ってるところがある?」

が問うと、

「んにゃ。せっかくだから有名どころに行こうと思ってるんだけど、それ、大丈夫か?」

藤真が言った『それ』をも見て、「まあ、なんとかなるっしょ」と返した。

本人がそう言うのだし、と藤真はその駅から徒歩10分程度のところにある有名どころと称した神社に向かった。


「そういえば、皆は?」

参道で人ごみにもまれながらが言う。

は標準よりも背が高いからこういうとき埋もれずに済むが、それでも苦しそうだ。

「大丈夫か?」と声を掛けるが「大丈夫」の一点張りで、それ故、藤真も手が貸せない。

「やっぱ、田舎に帰るから元旦に戻ってくるのはムリだってさ。去年もそれでオレは振られてる」

「振られんぼうだ」とが笑う。

「じゃあ、今年はわたしに大いに感謝しなきゃね」

図々しく恩も売ってきた。

藤真は苦笑して「んじゃ、それ持ってやるからチャラだ」と言いながらの持っている少し大きめのバッグに手を伸ばした。

「わーい、楽ちん」とは遠慮せずに藤真にそれを渡す。

やっぱり、と藤真は吐きたくなった溜息を我慢した。

コイツ、バスケットボール持ってきてやがる...

この後、バスケをする気満々なのだ。

正月だろうとバスケバカに変わりないに思わず苦笑を漏らし、それを目ざとく目にしたに「なに?」と聞かれ、「バスケバカめ」と返した。

「お褒めに預かり、光栄です」

はニコリと微笑んでそう返した。

本当に、相変わらずだ...









桜風
10.12.15


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