飛び出せ、青春!! 19





春休みに入ると顧問に呼び出された。

職員室に足を踏み入れた途端、「、留年か?」と失礼な声を掛ける教師達に「まさかー」と笑いながら返す。

ホント、留年だったらどうしよう...いやいや、今回赤点無かったし...

、悪いな」と声を掛けた顧問に「留年、とかって話じゃないですよね?」と恐る恐る聞いたら「何だ、1年余分に高校生がしたかったのか?」と真顔で聞かれてはブンブンと首を横に振る。

「3日後、男子が翔陽との練習試合ってことになったから。会場は、うち。先に言っておかんと、お前は怖いからな」

と笑いながら言われ、この後は職員会議があるから練習に顔を出すのが遅くなると言う事務連絡も受けた。

ああ、良かった。留年の話じゃないんだ...

安心しながら職員室を後にして、そして溜息を吐く。

修学旅行に時に翔陽バスケ部の話を聞いて以来、何となく藤真と連絡を取っていない。

元々用事が無いと連絡を取らないという間柄なので、特に困らないが、やっぱり気になるもので、はてさて、どういう態度を取っていいのだろうか。


「留年?」

体育館に戻るとにそう声を掛けられた。

「なんだって皆が皆、揃ってわたしを留年させたいのかねー」

呆れたように言うと

「イヤ、何かかなり沈んでたし」とが指摘する。

ああ、そうか。

「大丈夫。一緒に卒業できるよ!」

「卒業はまた別の話でしょう?」

真顔で返されては言葉を失った。

「先生、これから職員会議で来るのが遅くなるって話と、3日後に翔陽との練習試合を受けたからって話。夏休みのときみたいに怒られたくないからって言われちゃった」

の言葉を聞いては苦笑し、「あ、そういえば」と声を潜める。

「翔陽の監督さんって交通事故に遭われて復帰できなくなったみたいね。今は藤真くんが監督をしてるみたい」

「うん、藤真から聞いた。花形くん?」

「うん。この間、電車でばったり会って。『そっちはどう?』って話になって教えてもらったの。大丈夫かな、藤真くん」

「...だね」

少しの間じっとの表情を見ていたがふぅ、と息を吐く。

「で、3日後は練習どうするの?」

「...お休みにしようか」

の言葉には目を丸くした。

「わたしは勿論試合後に練習するつもりだけど、時間的に半端になるでしょう?だったら、前の日に死ぬほど練習をして次の日休みでいいかなって思ったんだけど...」

そう言ってを見ると「死ぬほどもしなくちゃだめ?」と苦笑された。



3日後、体育館に翔陽バスケ部がやってきた。

相変わらずの人数だな、と思いつつ彼らの命運が藤真の肩に圧し掛かってるんだと思うと改めて圧倒される。

『命運』というと少し大げさなような気がするが、名門と呼ばれる学校なら『命運』と言っても過言じゃないと思う。

「あれ?女バスは休み?」

を見つけて藤真がチームメイトから少し離れ、声を掛けてきた。

「昨日死ぬほど練習したから、今日は死んでるんだと思う。あのでさえ、『今日はパス』って電話してきたし」

笑いながらが言う。

あれ、ちゃんと笑ってるかな?

そう思っていると藤真がデコピンをしてきた。

「お前、ホントに素直だな。大丈夫。オレを誰だと思ってるんだ?『藤真様』だぞ?」

「うわ、偉そう。やな感じー!」

そう言っては笑う。

ー!お前暇だろう。審判してくれよ」

少し離れたところにいた男子部のキャプテンであるに声を掛けられた。

「おっけー」と返しながら彼の元へと駆けて行く。

「なあ、ちゃんは?」

戻ってきた藤真に高野が聞いた。本人が居ないのをいい事に名前呼びをしている。

「昨日死ぬほど練習したから死んでんだと」

「...さんは元気だぞ?」

「アイツ何度オレと1on1してると思ってんだよ。日が暮れるまでずっとボールを追いかけてきてるんだぜ?心臓破りの坂にチャレンジするだけあるぞ」

苦笑しながら藤真が返した。

多少の手抜きをしているかもしれないが、それでもこの藤真とずっとボールを追いかけあっていることが出来る。藤真の言葉を聞いて皆は納得した。

「体力だけは全国区だろうよ。ただ、残念なことにセンスは無いけど」

苦笑して藤真が言う。

センスが無いのは本人が申告している。自覚があるので、藤真も遠慮なく指摘している。


試合はやはり翔陽の圧勝で終わったが、全員が呆然とある人物を見ている。

「なあ、。お前実はバケモンだろう...」

コートに寝そべっているがそう呟いた。

「失礼ねー。アンタが体力不足なだけでしょう?ほら、翔陽を御覧なさい」

そう言ってが見ると寝そべっている者は居ないが、それなりに疲労を見せている。

あれ?とは首を傾げた。

目があった藤真は苦笑している。さすがに藤真はあまり疲れていないようだ。フル出場していないからかもしれないが...

「な?かなり体力あるだろう?」

「審判って俺達以上に走ってるんじゃないのか?」

永野が呆然と呟く。彼女は確かに肩で息をしている。だが、まだもうちょっといける感じがある。

「よく食うからなー」

「それだけ?それだけであんだけ体力があるのか??」

「冬の選抜予選のときよりも体力ついたんじゃないのか?」

しれっと返す藤真に皆は納得した。

藤真が気に入るわけだ...

コートの真ん中に立っているはまだ不思議そうな表情を浮かべていた。









桜風
11.1.12


ブラウザバックでお戻りください