| 夏休みが終わり、2学期が始まった。 正直、宿題はギリギリに済ませたからあんまり『休み』って感じがしない。終わり方が悪かったんだと思う。 「、宿題間に合った?」 「うん、なんとか...」 教室で隣の席の宗に答える。 宗は笑いながら「よく出来ました」と褒めてくれた。 「あ、ねえ。宗は今日の練習の後何かご用事ありますか?」 鞄の中のものを出しながら宗に聞くと 「ううん。これと言って何も。どうかしたの?」 頬杖をついて聞き返す。 「今朝ね、お母さんが突然『バーベキューしたい』って言い出して。で、宗にも声を掛けておくようにって」 「...俺、かなり食べるよ」 「うん。それを見たいそうだから」 あたしの言葉に宗は「じゃあ、喜んで」と笑って答えた。 お母さんに連絡を入れると凄く楽しみだと言われ、宗に報告すると「それは、頑張らないといけないね」と言う。 放課後の部活が終わって、宗のシューティング練習が済んで家に向かう。 その時間は結構遅いけど、お母さんはそれを分かっていてこの話を出したんだから。 家に着くと既に庭から煙が上がっていた。 宗と顔を見合わせて家の中に入らず庭に回ると、 「お、。遅かったな!」 と軽く手を上げてきた人がいて、思わず宗の背中に隠れる。 「あれって、藤真さんだよね」 振り返ることなく宗が呟く。 「ですよねー」 「ちゃん、早くおいでよ」 「仙道も居るんだけど...?」 「何でだろうねー...」 藤真先輩は分かる。 何だかんだ言って、中学のときに何度か何故か遊びに来たことがあるから。 けど、仙道がこの家に居る意味が分からない。 というか、アイツとっとと帰らないかな? 「宗ちゃん、いらっしゃい!」 「こんばんは、お邪魔します」 お母さんに宗が挨拶をする。 「ちゃん?宗ちゃんの後ろに隠れたままだとお肉なくなっちゃうわよ?」 それはイヤだ。あたしだって肉は食べたい!! 宗の背中に隠れるのをやめてバーベキューセットへと向かう。 「あれ、お父さんは?」 「早く帰れる予定だったんだけどね。接待が入っちゃったの。残念よね」 「そうなんだ...あ。あたし着替えてくるね。宗、荷物家の中に入れとこう。貸して」 宗の荷物を受け取って縁側で靴を脱いで家の中へ入った。 階段を上って自分の部屋に帰り、制服を脱いで楽な格好に着替える。 庭に戻るとお母さんが居ない。 「お母さんは?」 誰ともなく聞いてみると 「野菜を切るって台所に行ったぞ」 と藤真先輩。 おお、手伝わないと。 「お母さん、手伝うよ」 声を掛けると 「ああ、いいのよちゃん。ところで、あの中で本命って誰?やっぱり宗ちゃんかしら?」 ウキウキと聞いてきた。 何言ってんだろう、この人は... 「じゃあ、これ運んどくよ」 取り敢えずきり終えた野菜を持って庭に戻る。 藤真先輩も細く見えるのにガツガツいってるし、宗も例外ではない。仙道は、もういいや。食べそうだもんね... 「野菜も食べてくださいよー」 と言いながら肉を適当に近くに居た仙道の皿に載せて野菜を置くスペースを確保する。 「うわぁ、ありがとうちゃん」と仙道が言うから少しだけ良心が痛む。だって、スペース確保するために邪魔な肉を偶々近くに居た仙道に避けただけだから。 「おい、。俺にも肉を焼け」 命令形ですか... 「野菜も食べてくださいよ。さっきから肉しか食べてないでしょ、藤真先輩」 「肉を食べて大きくなるんだ!」 そんな主張する。 思わず隣に居る仙道と少し離れたところにいる宗を見て、そして再び藤真先輩に視線を戻す。 「...藤真先輩だって大きいですよ」 「こいつらと見比べた後でよく言えたな...」 半眼になった藤真先輩は憎々しげに言う。 流石にバーベキューセットの側で追いかけっこをするのは危ないってのを分かってくれているらしい。 まあ、高校生なんだからそれくらい分かるか... 「そういえば、翔陽のベンチって凄く背が高いのが揃ってましたね」 宗が言う。 「まあ、な」 「なんて『人間山脈だ...』とか呟いてましたよ」 「ちょっと、宗!言わないでよ」 「そうか、。あいつらにちゃんとそのことを伝えておいてやろう」 「やめてくださいよ、藤真先輩。そんなコト言われたらあたし凄く失礼な人っぽいじゃないですか!」 「少なくともお前は俺に対してかなり失礼だ」 ビシッと箸をあたしに向けて藤真先輩が言う。 さっき宗と仙道と比べてしまったのがよっぽどイヤだったのかな? 「わかりました。藤真先輩のために心を込めてレバーを焼かせていただきます」 「。お前、俺がレバー嫌いだって知ってるよな?」 「心を込めて!!」 もう一度主張をして藤真先輩用にレバーを焼く。 知ってますよ。散々中学の頃、大会の打ち上げの焼肉屋でレバーがあたしのお皿の上に重なってきていたんですから。 「はい、藤真先輩。愛情たっぷりにあたしが焼いたレバーです!」 心を込めて焼いたレバーを藤真先輩のお皿の上に載せると少しの間固まって、そして、食べた。 口の中に放り込んで咀嚼している。心なしか涙目になっているような...けど。何だ、食べれるんだ。 「も食べなよ。俺が焼くから」 と宗が言ってくれたのでやっと食事にありつける。 「肉焼いて、肉」 「はいはい」 「...お前、相変わらず食うな」 と呆れた声で藤真先輩。 「何処に入ってるの?」 と驚いた表情の仙道。 「見事な食べっぷりだね」 苦笑いを浮かべて宗が言う。 あ、あれ?変かな?? 成長期真っ只中の体育会系男子高校生に呆れられるくらいの食欲を持つ女子高生。 流石に、ヤバイかなって思ってしまった。 |
桜風
12.2.29
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