君の隣で 12




2学期の初日。

部活は比較的早めに終わらされた。今日は居残りも禁止されたため、まっすぐ家に帰る。

駅を出て、少しくらい寄り道でもするかと考えていると

「藤真さん?」

声を掛けられて振り返ると意外なことにそこには

「仙道!?」

陵南のエースがいた。

「何でこんなところに居るんだよ」

この町は陵南から近いわけではない。仙道が居て不思議に思ってもそれは可笑しくない事だと思う。

「や。今日はちょっと学校の都合で部活が出来なくて、外周走って終わったんですよ。で、時間があるし。俺、陵南の近くしか歩いた事がないからちょっと適当な駅で降りて探検でも、って思って...」

東京からスカウトされてきた仙道は、まだ神奈川に馴染めていないとかそう言うことらしい。

「帰って休めばいいのに」

「折角の休みですから」

と言って笑う。

「藤真さんは?」

「此処は家から一番近い駅なの」

仙道とそんな会話をしていると

「あら?藤真君?」

とまたしても俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

振り返ると結構ビビッた。

「こんちは!」

の母ちゃんだ。

「こんにちは〜。久しぶりね。元気そうで良かったわ。あ、知ってる?ちゃんってバスケ部のマネージャーやってるのよ」

のんびりとそう言う。

は見た目は母ちゃんに似てるけど、性格はちょっと違うと思う。はどちらかと言えばせっかちだから。

「藤真さん、この人って」

小さな声で仙道が聞いてきた。

ああ、そうか。仙道はと知り合いだったな...

の母ちゃん。とは知り合いなんだろう?」

「何で知ってるんですか?」

から聞いた」

「ねえ、藤真君。その子は?お友達でしょ?」

『お友達』と言われるほど親しいとも思えないけど...

「初めまして、仙道彰って言います」

俺が紹介するまでもなく自己紹介を擦る仙道。抜け目が無いな...

「初めまして、の母です。その制服...陵南ね?」

「え、分かるんですか?女子の制服なら多少特徴があるけど...」

確かに。シャツとズボン。夏服だからそれ以外なく、冬服だったら学ランだから特徴が有ると思うけど...

「ああ。おばさんね、昔結婚する前は制服屋さんで働いていたから。何となく見たら分かるの」

おっとりとそう言う。

初耳な情報だ。何度か家に遊びに行った事あるけど、そんな話聞いたことない。


それはともかく。

「...大荷物ですね。持ちましょうか?」

は大食らいだけど、それにしたって買い込みすぎだろう...?

「まあ!ありがとう。そうねー、藤真君と、仙道君。これから何かご用事あるかしら?」

おばさんに言われて思わず顔を見合わせる。

「いえ。俺はないです」

「俺も、特にありませんけど」

俺も仙道もそう答えると

「じゃあ、今日はバーベキュー大会だから一緒にどうかしら?」

『大会』?

「いいんですか?」

と乗り気な仙道。

「いいのよ!藤真君もどうかしら?」

「じゃあ、お言葉に甘えて...」

俺の言葉を聞いておばさんはにこりと微笑む。こういう表情はとそっくりだ。

「じゃあ、藤真君。悪いけど、この荷物を持って先に家に帰っててくれるかしら?私はもうちょっと買い物して帰るから」

おばさんの言葉に慌てて、

「や、俺が買ってきますよ。何が要るんですか?」

おばさんに聞いてそれを買いに行く。

仙道にはおばさんの荷物持ちをするように言って鞄も預けて俺は別れた。









桜風
12.3.7


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