君の隣で 13





藤真さんに言われてちゃんのお母さんと一緒にちゃんの家に行く。

まさか、ちゃんの家に行く事になるとは思ってなくて、ちょっとだけ浮かれてしまう。

「仙道君、背が高いわね。どれくらいあるの?」

「190くらい、ですね」

そう言うと

「じゃあ、宗ちゃんと同じくらいかな?」

と叔母さんが呟く。

『宗ちゃん』?

「そういえば、さっき。『バーベキュー大会』って仰ってましたけど、誰か来る予定だったんですか?」

「ええ、ちゃんの幼馴染の宗ちゃんも一緒なの。部活が終わるのが遅いみたいだけど。先に始めちゃいましょうね?」

それから暫くおばさんと話をしながら歩いていると、おばさんが足を止める。

「ここよ」

そう言って門を開けて家のドアに鍵を挿す。

「どうぞ」とドアを開けて促されたため、そのまま玄関に足を踏み入れた。

「あがって」とスリッパを用意されてそれに足を入れてパタパタと廊下を歩いてリビングに通された。

隣接するキッチンでおばさんがお湯を沸かし始める。

「ああ、それそこのテーブルの上においてくれる?」

言われたとおりに食材の入った袋を置いた。そして、ついでに俺もそのテーブルについた。

「仙道君。おうちに電話しなくて大丈夫?」

「や。俺、実家は東京なんで一人暮ししてるので連絡入れなくてもいいんです」

「あら、宗ちゃんと一緒なのね」

さっきから出てくる『宗ちゃん』てのが誰なのかやっぱり少しだけ気になる。


30分くらいして家のインターホンが鳴る。

「はいはーい」と言いながらおばさんが玄関に向かっていき、入ってきたときには藤真さんが一緒だった。

「ごめんなさいね」

「いえ、全然大丈夫です」

「藤真君はおうちに連絡しないと」

おばさんに言われて藤真さんは電話を借りて家に電話を入れていた。

「何か手伝う事ありますか?」

電話を切った藤真さんがおばさんに声を掛けた。

「いいのよ。最近の高校生はしっかりしてて凄いわね。なんて全然そんなこと言わないのよ」

クスクスと笑いながらおばさんが言う。俺もそう言って断られた。

「あ。でも後でお願いする事になると思うわ。バーベキューセット出すのは手伝ってね」

「はい」と返事をしながら藤真さんは少しはなれたところのソファに座った。

俺もテーブルからソファに移動する。

「藤真さんは、この家に良く来てたんですか?」

「言うほど来てないな。精々5回有るか無いかだろ。中学卒業してから来てないし、がこっちにきたのだって1年の途中だったし」

「引っ越してきたんですか?」

「この家を買ったせいで引っ越さないといけなくなったって結構ご立腹だったけどな」

藤真さんが少し思いだし笑いをしていた。

「ふうん...あ、じゃあ。藤真さんは『宗ちゃん』って知ってます?」

「たぶん、神とかいうやつだと思う。海南のバスケ部だよ。が言ってた。幼馴染だってさ」

藤真さんの言葉にもう1回「ふうん」と呟く。

何か、ちょっと。面白くないと言うか...

藤真さんは俺の方を見てニヤリと笑った。

その笑顔が凄く余裕に見えて思わず顔を背ける。


時計が8時を指して、おばさんに声を掛けられた。

「手伝ってくれる?」

「はい」と先に立ち上がったのは藤真さん。

庭に回って物置からバーベキューセットなるものを出して組み立てる。

と言ってもそんな複雑なものではなくて。

それすら、ひとりでやっても全然楽なものだった。

途中で家に電話が掛かってきて、ちゃんかなと思ったらおじさんで、どうやら今日は夕飯要らないという話だったようだ。

おばさんが何だか凄く沈んだように見えた。

「仲良いからな、おばさんたち」

ポツリと藤真さんがそう言いながら炭を敷いていた。

「準備できましたよ」

家の中にいるおばさんに藤真さんが声を掛けるとパタパタとおばさんがやってきて、時計を見て「始めちゃいましょう」と言う。

「海南って、結構遅くまで練習してるんですね」

「だなー。もっと練習量を増やした方がいいかもしれないなー」

藤真さんがポツリと呟いていた。









桜風
12.3.14


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